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彼の世界は官能で出来ている。
第2章 彼の名は
「私が10歳の頃…先生は80近かったですが、よく家に遊びに行っていた…って感じですね――――なんで、行っていたかも今では思い出せません。」
――――はぁ、これで私は解放されるのかな?
「ちなみに――――…君の名を教えてもらってもいいかい?」
「え?名前?」
彼は写真をテーブルに置くと…背筋を伸ばし私に再び視線を戻す。
「…百々子(ももこ)――――上原 百々子です」
久しぶりに自分の名前を口にした気がする…
自己紹介なんて就活全滅と共に、する機会はなくなった。
「百々子…さんか…。そうか…
あっ――――…申し遅れた!
私は、平井 瑛斗(ひらい えいと)
それと、官能小説家“月睦 梛無”先生の弟子で…“水無月 睦(みなづき むつ)だ。」
――――…「はい?」
「だから、本名――――平井 瑛斗。
職業、官能小説家、“月睦 梛無”の弟子“水無月 睦”!」
「いや、聞こえてますから!名前も!誰が誰の弟子か!ちゃんと聞こえてますから!」