この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
彼の世界は官能で出来ている。
第13章 巨匠の娘、レジェンドの弟子
何度か…スマホが鳴ったが出る気力もなく、私は耳を塞いだ。
何も聞きたくない――――…
何も知りたくない――――…
何も――――…
テレビを消してスマホの電源もOFFにして、その日はバイトも休んだ。
大学時代に付き合っていた彼に「他に好きな子が出来たから別れて」と、サラッと言われ「そうなんだ…」と、すんなり受け入れられた。
だから…別れってこんなもんなんだと、甘く考えていたところがあった。
でも、今回は違った――――…
こんなにもどん底に落とされる感覚に…足も手も――――…震えて…次に何をするべきなのか全く分からなくなった。
「――――やだよ…」
そして、自分でもビックリするほどのか細い声が出た――――いや、出てはいなかったかも知れない。