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彼の世界は官能で出来ている。
第6章 BかFか…


「本当に…無理はしないでください。官能は…逃げませんから」


ケーキを無言で食べる瑛斗を私と佐久間さんは心配そうに見る。


「――――仕事はちゃんとする…
だが、俺は書きたいんだ!

不思議だが…言葉が溢れるんだ、目を瞑ると情景が浮かぶ――――…こんな事…先生を亡くしてから…無かったのに…」


先生が亡くたったのは約5年…前…



「末広が、月睦先生の所に弟子入りしていたのは知っているけど…

お前の才能は…違うところで開花したんだ――――…そろそろ、受け入れてくれ」


佐久間さんは困ったように瑛斗を説得している。


「佐久間さん…約束――――覚えていますよね?」




――――約束?




「あ……あぁ…」


「俺は――――官能小説家“水無月 睦”です。

良い作品が出来たら…ちゃんとその名前でデビューさせてくれるですよね?」




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