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恋する真珠
第1章 海と真珠
…昼営業の店仕舞いをした店内はひっそりと静まり返っていた。
「…元気を出して、瑠璃子ちゃん…」
澄佳が冷たいオレンジジュースが入ったグラスを差し出しながら、うなだれている瑠璃子を慰める。
「涼ちゃんはいつもああよ。
口が悪くて荒っぽいの。
…あんな下品なこと言って…ごめんなさいね」
瑠璃子は首を振った。
「…涼ちゃんは悪くない。
私がいきなりお嫁様になりたいなんて言ったから、呆れたんだと思う。
自分でも訳が分からなかった…。
気がついたら叫んでいたの…。
…でも…私、本当に涼ちゃんが好きなの。
今まで男の人を好きになったことがなかったからよく分からなかったんだけど、これが恋だと思うわ」
熱っぽく語りかける瑠璃子の隣に腰を下ろし、澄佳が優しく頷く。
「…そう…。
それは一目惚れだわね」
…でもね…。
静かに続ける。
「涼ちゃんは私と同い年の三十歳よ。
十四歳の瑠璃ちゃんとは十六歳も歳が離れているわ…」
「知ってるわ。でも、それがどうしたの?
私のママとパパだって二十歳以上歳が離れていたわ。
でも、二人は仲良しだったもの」
…パパは…飛行機事故であっけなく死んじゃったけど…。
そっと呟いた。
「…お母様がお父様とご結婚なさったのは大人になられてからでしょう?
瑠璃ちゃんはまだ十四歳よ。
まだまだこれから色々な出会いがあるはずだわ。
涼ちゃんは確かに優しくて頼もしくてとてもいいひとよ。
…でも、まだ将来の旦那様に決めるには早すぎるんじゃないかしら?」
…澄佳が言っていることは、よく分かる。
けれど、自分が切羽詰まったような…じりじりと焦ってしまうような気持ちになるのを止められないのだ。
…だって…こうしている間にも大人の涼太にはほかの出逢いがあるような気がするからだ。
…いや、もう既に誰かいるのかもしれない。
瑠璃子の小さな胸はずきりと痛んだ。
「…元気を出して、瑠璃子ちゃん…」
澄佳が冷たいオレンジジュースが入ったグラスを差し出しながら、うなだれている瑠璃子を慰める。
「涼ちゃんはいつもああよ。
口が悪くて荒っぽいの。
…あんな下品なこと言って…ごめんなさいね」
瑠璃子は首を振った。
「…涼ちゃんは悪くない。
私がいきなりお嫁様になりたいなんて言ったから、呆れたんだと思う。
自分でも訳が分からなかった…。
気がついたら叫んでいたの…。
…でも…私、本当に涼ちゃんが好きなの。
今まで男の人を好きになったことがなかったからよく分からなかったんだけど、これが恋だと思うわ」
熱っぽく語りかける瑠璃子の隣に腰を下ろし、澄佳が優しく頷く。
「…そう…。
それは一目惚れだわね」
…でもね…。
静かに続ける。
「涼ちゃんは私と同い年の三十歳よ。
十四歳の瑠璃ちゃんとは十六歳も歳が離れているわ…」
「知ってるわ。でも、それがどうしたの?
私のママとパパだって二十歳以上歳が離れていたわ。
でも、二人は仲良しだったもの」
…パパは…飛行機事故であっけなく死んじゃったけど…。
そっと呟いた。
「…お母様がお父様とご結婚なさったのは大人になられてからでしょう?
瑠璃ちゃんはまだ十四歳よ。
まだまだこれから色々な出会いがあるはずだわ。
涼ちゃんは確かに優しくて頼もしくてとてもいいひとよ。
…でも、まだ将来の旦那様に決めるには早すぎるんじゃないかしら?」
…澄佳が言っていることは、よく分かる。
けれど、自分が切羽詰まったような…じりじりと焦ってしまうような気持ちになるのを止められないのだ。
…だって…こうしている間にも大人の涼太にはほかの出逢いがあるような気がするからだ。
…いや、もう既に誰かいるのかもしれない。
瑠璃子の小さな胸はずきりと痛んだ。