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恋する真珠
第1章 海と真珠
「ねえねえ、瑠璃ちゃん。
あんた、前に涼ちゃんに告ったんやて?」
部活終わりの帰り道…夏実が肘でぐいぐいと突いてきた。
「え?…うん…」
瑠璃子はどきどきしながら頷いた。
「うちの兄ちゃんが涼ちゃんと同級生なんよ。
で、漁協に勤めとるんやけど、涼ちゃんが転校してきた超美少女にプロポーズされとったって噂で持ちきりやったってウケてたよ」
陽気に笑う夏実に、瑠璃子は愚痴をこぼす。
「…プロポーズしたけど、ソッコーで振られたよ。
俺はロリコンじゃねえ!て」
「あはは!」
「あとさ、おっぱいとお尻が大きなえっちな女のひとじゃないとダメなんだって。
…ズルいよね!そんなのさ…」
夏実はけらけら笑いながら、のんびりと慰めるように言った。
「そんなの本気にせんでもええよ。
だって涼ちゃんはずっと澄ちゃんのこと、好きやったんやから…別に澄ちゃんは巨乳やないしねえ。
どっちかというと貧乳やよね?」
悪戯っぽく目配せをする。
「…え?」
瑠璃子の歩みが止まる。
大らかな夏実は頓着せずに歩き続けた。
「…せやから涼ちゃんの好みなんてあてにならんて。
瑠璃ちゃん、気にせんと頑張り。
涼ちゃんは歳は三十やけどああ見えてイケメンやし無愛想やけど優しいしなあ…結構モテるらしいて、兄ちゃん羨ましがっとったわ。
うちの兄ちゃん、涼ちゃんとタメなのに薄毛やし太っとるしなかなか嫁さん来やせんのよなあ。あはは…」
来月の合唱コンクールの課題曲を口ずさみながら、呑気に歩く夏実の後ろ姿をぼんやり見つめる。
…私の愛しいお父様…
ああ、私の愛しいお父様…
あのひとが好きなの
素敵な素敵なひと…
「…そうなんだ。
…涼ちゃん…澄佳さんのこと好きだったんだ…」
小さな声が夏実の綺麗なアルトの声に微かに重なった。
あんた、前に涼ちゃんに告ったんやて?」
部活終わりの帰り道…夏実が肘でぐいぐいと突いてきた。
「え?…うん…」
瑠璃子はどきどきしながら頷いた。
「うちの兄ちゃんが涼ちゃんと同級生なんよ。
で、漁協に勤めとるんやけど、涼ちゃんが転校してきた超美少女にプロポーズされとったって噂で持ちきりやったってウケてたよ」
陽気に笑う夏実に、瑠璃子は愚痴をこぼす。
「…プロポーズしたけど、ソッコーで振られたよ。
俺はロリコンじゃねえ!て」
「あはは!」
「あとさ、おっぱいとお尻が大きなえっちな女のひとじゃないとダメなんだって。
…ズルいよね!そんなのさ…」
夏実はけらけら笑いながら、のんびりと慰めるように言った。
「そんなの本気にせんでもええよ。
だって涼ちゃんはずっと澄ちゃんのこと、好きやったんやから…別に澄ちゃんは巨乳やないしねえ。
どっちかというと貧乳やよね?」
悪戯っぽく目配せをする。
「…え?」
瑠璃子の歩みが止まる。
大らかな夏実は頓着せずに歩き続けた。
「…せやから涼ちゃんの好みなんてあてにならんて。
瑠璃ちゃん、気にせんと頑張り。
涼ちゃんは歳は三十やけどああ見えてイケメンやし無愛想やけど優しいしなあ…結構モテるらしいて、兄ちゃん羨ましがっとったわ。
うちの兄ちゃん、涼ちゃんとタメなのに薄毛やし太っとるしなかなか嫁さん来やせんのよなあ。あはは…」
来月の合唱コンクールの課題曲を口ずさみながら、呑気に歩く夏実の後ろ姿をぼんやり見つめる。
…私の愛しいお父様…
ああ、私の愛しいお父様…
あのひとが好きなの
素敵な素敵なひと…
「…そうなんだ。
…涼ちゃん…澄佳さんのこと好きだったんだ…」
小さな声が夏実の綺麗なアルトの声に微かに重なった。