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恋する真珠
第1章 海と真珠
身を硬くして身構える瑠璃子の警戒心を解くように、青年がゆっくりと近づく。
「ごめんね。せっかく踊っていたのに声をかけてしまって…。
でも君のバレエがあまりにも美しくて…声をかけずにはいられなかったんだ」
瑠璃子はAirPodsを外しながら、少し後退る。

「怪しいものではないんだ。
僕は財前光彦。横浜国立大学の二年生、二十歳だ。
…実はこのフェリーには時々乗っていてね。
君を何度か見かけた。
…甲板で踊る君がまるでお伽話の妖精みたいに可愛らしくて綺麗で…いつもこっそりと眺めていた」

…見られていたなんて!
身悶えるような羞恥心が胸に溢れ、瑠璃子は更に甲板の奥に逃げ込む。

…どうしよう…。
怪しいひとには見えないけど…どうしたらいいか分からない…。
心臓がどきどきと鼓動を立てる。

青年が穏やかに口を開き、詫びる。
「怖がらないで…。ごめんね。
こんな風に見知らぬ男にいきなり声をかけられたら、怖いよね。
夜だし…船だし…。
でも、どうしても君に声をかけずにはいられなかった。
君のバレエが本当に綺麗で…。
…だから、一言…素晴らしい…て伝えたかったんだ。
怖がらせて、ごめんなさい」

礼儀正しく頭を下げる様子はとても紳士だ。
…どこか兄、柊司を思わせる品の良さも感じる。
着ているものやストレートチップの革靴も仕立てが良く上質そうなものであった。
貌立ちも甘やかに整い、清潔感に溢れて育ちの良さを感じる。

瑠璃子はおずおずと逃げる脚を止めた。
青年はほっとしたように笑った。
そうして咳払いをすると、緊張した様子で語りかけてきた。
「…あの…。
良かったら、少し話せるかな。
港に着くまででいいんだ。
二人きりが怖いなら客室の…人がいるところで話してもいい。
君と少しだけ、話をしたいんだ」

真摯に頼み込む青年の眼差しは澄んでいて、瑠璃子は断る理由がなくなり、小さく頷いていた。
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