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恋する真珠
第1章 海と真珠
「いいえ、違います。
単なる趣味です」
慌てて首を振る。
「そうなの?すごく上手だからプロのバレリーナを目指しているのかと思った。
僕の妹も高校までクラシックバレエをやっていたから素人なりに観てはいるんだけど、君の踊りはとても綺麗だし…何というか…詩情があって感動したんだ」
「…ありがとうございます…」
バレエを褒められるのは嬉しい。
「海と真珠のバリエーションだよね?
発表会に踊るの?」
財前のバレエの知識の深さに驚く。
「…はい。
…私、半年以上バレエのブランクがあるので、勘と身体が戻るまで頑張らなきゃ…と思っていて…」
「そう?
とても滑らかにエアリーに踊れていたよ。
いつまでも見ていたかったくらいに…。
…夜空と夜の海を背景に船の甲板を舞台に踊る美しい妖精さん…。
まるで奇跡みたいな光景だった…」
「…そんな…褒めすぎです…」
財前の熱い言葉にくすぐったいような恥ずかしい気持ちになる。
俯く瑠璃子に我に返ったように頭を掻く。
「ごめんね。いきなりこんなこと聞かされたらドン引くよね」
「…でも…嬉しいです。
バレエを褒めてもらえるのは…。
私…少しバレエと離れていた期間があったので…」
…去年のバレエでの辛い出来事や自分の過ちが思い浮かび、思わず黙り込む。
「…余計なことを言ってしまったかな…」
瑠璃子の表情を伺い気遣うような財前の言葉に、きっぱりと首を振る。
「いいえ。辛いことはもう、乗り越えましたから。
…私、半年前に東京から海浜留学であの海の町に移り住んだんです。
それで、あの町で私は生まれ変わったんです」
…瑠璃子の白い指が指し示す窓の外には、房総半島の町の温かな橙色の灯りが小さく瞬いていた。
…あの町灯りのひとつに涼ちゃんがいて、澄佳さんがいる。
あそこにいる二人のお陰で、私は生まれ変わったんだ。
…穏やかな小さな海の町で…
優しいひとたちに支えてもらって…
感謝の気持ちが泉のように胸に溢れてくる。
今頃、涼ちゃんは港に向かってくれているのかな…。
そう思うだけで、胸がきゅんと甘く疼く。
…大好きな大好きな涼ちゃん…。
太陽の王様みたいな強くて温かくて優しい涼ちゃん…。
いつか私は絶対に涼ちゃんのお嫁様になるんだ…。
「…君はあの町に好きなひとがいるのかな?」
財前の穏やかな言葉が聞こえ、瑠璃子は大きな瞳を見張った。
「…え?」
単なる趣味です」
慌てて首を振る。
「そうなの?すごく上手だからプロのバレリーナを目指しているのかと思った。
僕の妹も高校までクラシックバレエをやっていたから素人なりに観てはいるんだけど、君の踊りはとても綺麗だし…何というか…詩情があって感動したんだ」
「…ありがとうございます…」
バレエを褒められるのは嬉しい。
「海と真珠のバリエーションだよね?
発表会に踊るの?」
財前のバレエの知識の深さに驚く。
「…はい。
…私、半年以上バレエのブランクがあるので、勘と身体が戻るまで頑張らなきゃ…と思っていて…」
「そう?
とても滑らかにエアリーに踊れていたよ。
いつまでも見ていたかったくらいに…。
…夜空と夜の海を背景に船の甲板を舞台に踊る美しい妖精さん…。
まるで奇跡みたいな光景だった…」
「…そんな…褒めすぎです…」
財前の熱い言葉にくすぐったいような恥ずかしい気持ちになる。
俯く瑠璃子に我に返ったように頭を掻く。
「ごめんね。いきなりこんなこと聞かされたらドン引くよね」
「…でも…嬉しいです。
バレエを褒めてもらえるのは…。
私…少しバレエと離れていた期間があったので…」
…去年のバレエでの辛い出来事や自分の過ちが思い浮かび、思わず黙り込む。
「…余計なことを言ってしまったかな…」
瑠璃子の表情を伺い気遣うような財前の言葉に、きっぱりと首を振る。
「いいえ。辛いことはもう、乗り越えましたから。
…私、半年前に東京から海浜留学であの海の町に移り住んだんです。
それで、あの町で私は生まれ変わったんです」
…瑠璃子の白い指が指し示す窓の外には、房総半島の町の温かな橙色の灯りが小さく瞬いていた。
…あの町灯りのひとつに涼ちゃんがいて、澄佳さんがいる。
あそこにいる二人のお陰で、私は生まれ変わったんだ。
…穏やかな小さな海の町で…
優しいひとたちに支えてもらって…
感謝の気持ちが泉のように胸に溢れてくる。
今頃、涼ちゃんは港に向かってくれているのかな…。
そう思うだけで、胸がきゅんと甘く疼く。
…大好きな大好きな涼ちゃん…。
太陽の王様みたいな強くて温かくて優しい涼ちゃん…。
いつか私は絶対に涼ちゃんのお嫁様になるんだ…。
「…君はあの町に好きなひとがいるのかな?」
財前の穏やかな言葉が聞こえ、瑠璃子は大きな瞳を見張った。
「…え?」