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恋する真珠
第1章 海と真珠
フェリーのタラップを降りながら、目の前の駐車場を見渡した。
「…あ、涼ちゃん!」
店の白い軽トラにもたれかかるようにして、煙草を咥えている長身の頑強な肉体のシルエットが外灯に浮かび上がっている。
「涼ちゃん!」
叫んで手を振ると、直ぐに瑠璃子の方を見遣り、逞しい顎をしゃくるように頷いた。
後ろに続いていた財前がそれを見て尋ねる。
「迎えの人?瑠璃子ちゃんのご家族かな?」
「はい。
…いいえ…あの…お世話になっているお兄さんみたいなひとです」
…本当は私の好きなひとだけど…。
心の中でそっと付け加える。
「へえ…。大きなひとだね」
「はい。涼ちゃんは漁師さんなんです。
鮫も一人で釣り上げちゃうくらいすごい漁師さんなんです」
大きな瞳を輝かせる瑠璃子に財前は優しく笑った。
「…それはすごいな。
ヘミングウェイみたいだ」
瑠璃子が若い青年と話しているのに気づいたらしい涼太が怪訝そうに太い眉を顰めている。
「瑠璃子。早く来い」
ぶっきらぼうな声が飛ぶ。
「…行かなくちゃ…。
じゃあ…」
別れを切り出す瑠璃子に、財前は名残り惜しそうに頷く。
「うん。今日はありがとう。とても楽しかったよ。
…あの…、またね」
「はい。失礼します」
礼儀正しく頭を下げる瑠璃子に、財前は優しく微笑んだ。
「…おやすみ、瑠璃子ちゃん」
「おやすみなさい」
タラップを足早に降りて涼太の元に駆け出す。
息せき切って走ったので、涼太にぶつかるようにして足は止った。
「涼ちゃん!ただいま!」
「あの男は誰だ?」
着くが早いか涼太の質問が飛んできた。
「…ああ…。フェリーの中で会ったひと。
大学生だって」
「…あ、涼ちゃん!」
店の白い軽トラにもたれかかるようにして、煙草を咥えている長身の頑強な肉体のシルエットが外灯に浮かび上がっている。
「涼ちゃん!」
叫んで手を振ると、直ぐに瑠璃子の方を見遣り、逞しい顎をしゃくるように頷いた。
後ろに続いていた財前がそれを見て尋ねる。
「迎えの人?瑠璃子ちゃんのご家族かな?」
「はい。
…いいえ…あの…お世話になっているお兄さんみたいなひとです」
…本当は私の好きなひとだけど…。
心の中でそっと付け加える。
「へえ…。大きなひとだね」
「はい。涼ちゃんは漁師さんなんです。
鮫も一人で釣り上げちゃうくらいすごい漁師さんなんです」
大きな瞳を輝かせる瑠璃子に財前は優しく笑った。
「…それはすごいな。
ヘミングウェイみたいだ」
瑠璃子が若い青年と話しているのに気づいたらしい涼太が怪訝そうに太い眉を顰めている。
「瑠璃子。早く来い」
ぶっきらぼうな声が飛ぶ。
「…行かなくちゃ…。
じゃあ…」
別れを切り出す瑠璃子に、財前は名残り惜しそうに頷く。
「うん。今日はありがとう。とても楽しかったよ。
…あの…、またね」
「はい。失礼します」
礼儀正しく頭を下げる瑠璃子に、財前は優しく微笑んだ。
「…おやすみ、瑠璃子ちゃん」
「おやすみなさい」
タラップを足早に降りて涼太の元に駆け出す。
息せき切って走ったので、涼太にぶつかるようにして足は止った。
「涼ちゃん!ただいま!」
「あの男は誰だ?」
着くが早いか涼太の質問が飛んできた。
「…ああ…。フェリーの中で会ったひと。
大学生だって」