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恋する真珠
第1章 海と真珠
「…フェリーの中で声かけられて…」
「え⁈」
涼太の恐ろしく険しい貌に驚き、慌てて付け加える。
「少し話しただけだよ。
で、カフェをやっているから、良かったら遊びに来て…てさ」
「行くのか?」
「行かないよ」
「…フェリーの中でも気をつけろ。
人が少ないところには行くな」
「うん」
…「また、話しかけてもいいかな」
と、財前に言われたことは黙っていようと思った。
「この名刺は俺が預かっておく」
デニムのポケットに名刺をねじ込んだ涼太を見て、瑠璃子は小さく笑った。
「何だ?」
「何かさ…」
「あ?」
「ヤキモチ妬いてるのかなあ…て」
すぐさま頭をはたかれた。
「痛ったあ…!何よう…!」
「妬くわけねえだろ、バカ。帰るぞ」
さっさと運転席に乗り込む涼太についにやにやしてしまう。
助手席に乗りシートベルトを締めながら
「涼ちゃん。お腹すいた。ラーメン食べたい」
甘えてみる。
エンジンを掛けると涼太はじろりと仏頂面のまま見遣る。
「澄佳がうちで晩メシ用意してるだろ?」
「今日、夜に柊ちゃん来るの。
…たまには二人きりでゆっくり過ごさせてあげたいじゃん?」
ふんと鼻を鳴らすと涼太は滑らかにハンドルを切る。
「…醤油か?味噌か?とんこつか?つけ麺か?」
「醤油!岡田屋がいい!春巻きとシュウマイも食べたいから!
ありがと、涼ちゃん!」
逞しい腕に頭をすり寄せたら、すぐに押しやられた。
「…邪魔だ」
…素っ気なく笑顔もない。
でも、いいんだ。
瑠璃子は思った。
私は絶対に涼ちゃんのお嫁様になるんだから…。
十八歳になったら、涼ちゃんはきっと私を女として見てくれるんだから…。
…涼ちゃんはきっと私を好きになる。
ブロンズ色の引き締まった横貌を見つめながら、瑠璃子は心の中で呪文のように唱えたのだ。
「え⁈」
涼太の恐ろしく険しい貌に驚き、慌てて付け加える。
「少し話しただけだよ。
で、カフェをやっているから、良かったら遊びに来て…てさ」
「行くのか?」
「行かないよ」
「…フェリーの中でも気をつけろ。
人が少ないところには行くな」
「うん」
…「また、話しかけてもいいかな」
と、財前に言われたことは黙っていようと思った。
「この名刺は俺が預かっておく」
デニムのポケットに名刺をねじ込んだ涼太を見て、瑠璃子は小さく笑った。
「何だ?」
「何かさ…」
「あ?」
「ヤキモチ妬いてるのかなあ…て」
すぐさま頭をはたかれた。
「痛ったあ…!何よう…!」
「妬くわけねえだろ、バカ。帰るぞ」
さっさと運転席に乗り込む涼太についにやにやしてしまう。
助手席に乗りシートベルトを締めながら
「涼ちゃん。お腹すいた。ラーメン食べたい」
甘えてみる。
エンジンを掛けると涼太はじろりと仏頂面のまま見遣る。
「澄佳がうちで晩メシ用意してるだろ?」
「今日、夜に柊ちゃん来るの。
…たまには二人きりでゆっくり過ごさせてあげたいじゃん?」
ふんと鼻を鳴らすと涼太は滑らかにハンドルを切る。
「…醤油か?味噌か?とんこつか?つけ麺か?」
「醤油!岡田屋がいい!春巻きとシュウマイも食べたいから!
ありがと、涼ちゃん!」
逞しい腕に頭をすり寄せたら、すぐに押しやられた。
「…邪魔だ」
…素っ気なく笑顔もない。
でも、いいんだ。
瑠璃子は思った。
私は絶対に涼ちゃんのお嫁様になるんだから…。
十八歳になったら、涼ちゃんはきっと私を女として見てくれるんだから…。
…涼ちゃんはきっと私を好きになる。
ブロンズ色の引き締まった横貌を見つめながら、瑠璃子は心の中で呪文のように唱えたのだ。