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恋する真珠
第1章 海と真珠
「…君を困らせるようなことはしない。
命をかけて違うよ。
指一本、君に触れたりしない。
…だから、僕が君を愛することを許してくれ」
大人の男性から熱く激しく愛を告白される衝撃に、瑠璃子は思わず財前から眼が離せなくなる。

…けれど…
「…私、涼ちゃんが好きです」
きっぱりと言い放つ。
揺るぎない事実を、胸に秘めることはできないからだ。
「わかっている」
「貴方を…財前さんを好きになることはないと思います」
…傷ついたような表情を一瞬浮かべ…財前はしかし、直ぐに首を振る。
「それでも構わない。
君が僕を好きにならなくてもいい。
ただ、君をこれからもずっと見つめさせてくれ。
…こうやって時々貌を見せてくれて…言葉を交わせたらそれで満足だ。
十八歳になった君が涼太さんにプロポーズして、涼太さんがそれを受け入れたら、僕は君を諦める。
約束する。
…だからそれまで、僕の君への愛を許してほしい」
財前が再び、瑠璃子のスカートの裾を握りしめ狂おしく頰に押し当てた。

…甲板を吹き渡る夜の潮風は、けれど財前の手のひらの熱を吹き飛ばしはしなかった。
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