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恋する真珠
第1章 海と真珠
「…涼ちゃん…!」
タラップから駆け降り、駐車場で待つ涼太の胸に飛び込む。
「…お、おい!」
たじろぐ涼太に構わず、分厚い胸板にぐいぐいと額を押し付ける。
慌てて押しのけようとする涼太に
「いいじゃん!今だけだから!
…こうしてて…いいでしょう…」
ぎゅっと抱きついて離れなかった。
初めて生まれた心の小さな動揺を、涼太の体温と海の匂いで消し去って欲しかったのだ。
「…瑠璃子?何があった?」
低く尋ねる涼太に、無言で尚もしがみつく。
「…瑠璃子ちゃん、またね」
少し離れた駐車場から財前の声が聞こえた。
びくりと震えながら、瑠璃子は貌を上げなかった。
涼太が無言で財前を睨みつけるように見つめ返す。
「…あんた、瑠璃子に何かしたのか?」
クラウンの傍に佇んだ財前が穏やかに答えた。
「瑠璃子ちゃんに僕の愛を告白しただけですよ。
ご心配なさらないでください。
瑠璃子ちゃんが貴方を好きなことは知っています。
貴方のお嫁さんになりたがっていることも…。
…そして、貴方がそれを拒んでいることも…。
すべて承知しています。
僕はこれからも瑠璃子ちゃんに指一本触れません。
瑠璃子ちゃんに迷惑をかけるようなことは決してしません。
誓います。
…僕はただ、瑠璃子ちゃんを想い続けるだけです」
…失礼します。
そう言い放つときっちりと頭を下げて、車に乗り込み、二人の前から走り去ったのだった。
タラップから駆け降り、駐車場で待つ涼太の胸に飛び込む。
「…お、おい!」
たじろぐ涼太に構わず、分厚い胸板にぐいぐいと額を押し付ける。
慌てて押しのけようとする涼太に
「いいじゃん!今だけだから!
…こうしてて…いいでしょう…」
ぎゅっと抱きついて離れなかった。
初めて生まれた心の小さな動揺を、涼太の体温と海の匂いで消し去って欲しかったのだ。
「…瑠璃子?何があった?」
低く尋ねる涼太に、無言で尚もしがみつく。
「…瑠璃子ちゃん、またね」
少し離れた駐車場から財前の声が聞こえた。
びくりと震えながら、瑠璃子は貌を上げなかった。
涼太が無言で財前を睨みつけるように見つめ返す。
「…あんた、瑠璃子に何かしたのか?」
クラウンの傍に佇んだ財前が穏やかに答えた。
「瑠璃子ちゃんに僕の愛を告白しただけですよ。
ご心配なさらないでください。
瑠璃子ちゃんが貴方を好きなことは知っています。
貴方のお嫁さんになりたがっていることも…。
…そして、貴方がそれを拒んでいることも…。
すべて承知しています。
僕はこれからも瑠璃子ちゃんに指一本触れません。
瑠璃子ちゃんに迷惑をかけるようなことは決してしません。
誓います。
…僕はただ、瑠璃子ちゃんを想い続けるだけです」
…失礼します。
そう言い放つときっちりと頭を下げて、車に乗り込み、二人の前から走り去ったのだった。