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恋する真珠
第1章 海と真珠
「どうしてここに?」
思わず立ち上がる瑠璃子に、財前はこれ以上驚かさないように穏やかに口を開く。
「驚かせてごめんね。
実はこちらのお店にうちの落花生羊羹を100個ご注文いただいたんだ。
瑠璃子ちゃんのお義姉様のお店だとすぐに気づいてね。
…つい、僕が配達すると請け負ってしまって来てしまったんだ。
それ以外の意図はない。
信じて欲しい」
「…瑠璃子ちゃん…?
こちら、お知り合いなの?」
カウンターの中から、澄佳が心配そうに出てきた。
澄佳を見た財前は彼女の美貌に驚きながら、紳士的に礼儀正しく頭を下げた。
「清瀧様ですね。
今回は弊社の製品を多数ご注文くださり、誠にありがとうございます。
多家良やの財前光彦と申します」
折り目正しく名刺を差し出す財前にお辞儀しながら、澄佳は瑠璃子を見る。
「…ご丁寧にありがとうございます。
あの…瑠璃子ちゃんとは…?」
瑠璃子は口早に答えた。
「財前さんとはバレエの帰りのフェリーで偶然知り合ったの。
それより澄佳さん、本当に財前さんとこのお菓子注文したの?」
「え、ええ…。
婦人会と老人会の会合のお土産で多家良やさんの羊羹がいいってリクエストが多くて…私がまとめて注文をしたの。会長さんがネット注文に自信がないって仰るから…」
「…そっか…」
…財前の話は本当だったのだと少しほっとする。
「ありがとうございます。
弊社の菓子をお気に留めて頂けて、大変光栄です。
職人が心を込めて作り上げましたので、皆様にご満足いただけましたら幸いです」
部下らしき若者が段ボール箱の菓子を持って来た。
「…ありがとうございます。
こちらにいただきます。
…あの…瑠璃子ちゃんとは本当に…」
羊羹より瑠璃子のことが気になる澄佳は口籠もりながら、尋ねる。
「本当に知り合いなだけだよ、澄佳さん」
早口で答える瑠璃子の言葉尻を引き取るかのように、財前が改まった様子で澄佳に向かい合う。
「…お義姉様にはお伝えしておきたいと思います。
僕は瑠璃子ちゃんが好きです。愛しています。
…瑠璃子ちゃんが成人したら、僕は正式にプロポーズしたいと真剣に考えております」
「ざ、財前さん!」
澄佳が息を呑み、夏実が
「やっば…マジか!」
と興奮したように小さく叫んだ。
…扉のカウベルが鳴り、一人の客が入ってきた。
瑠璃子は思わず声を上げた。
「涼ちゃん!」
思わず立ち上がる瑠璃子に、財前はこれ以上驚かさないように穏やかに口を開く。
「驚かせてごめんね。
実はこちらのお店にうちの落花生羊羹を100個ご注文いただいたんだ。
瑠璃子ちゃんのお義姉様のお店だとすぐに気づいてね。
…つい、僕が配達すると請け負ってしまって来てしまったんだ。
それ以外の意図はない。
信じて欲しい」
「…瑠璃子ちゃん…?
こちら、お知り合いなの?」
カウンターの中から、澄佳が心配そうに出てきた。
澄佳を見た財前は彼女の美貌に驚きながら、紳士的に礼儀正しく頭を下げた。
「清瀧様ですね。
今回は弊社の製品を多数ご注文くださり、誠にありがとうございます。
多家良やの財前光彦と申します」
折り目正しく名刺を差し出す財前にお辞儀しながら、澄佳は瑠璃子を見る。
「…ご丁寧にありがとうございます。
あの…瑠璃子ちゃんとは…?」
瑠璃子は口早に答えた。
「財前さんとはバレエの帰りのフェリーで偶然知り合ったの。
それより澄佳さん、本当に財前さんとこのお菓子注文したの?」
「え、ええ…。
婦人会と老人会の会合のお土産で多家良やさんの羊羹がいいってリクエストが多くて…私がまとめて注文をしたの。会長さんがネット注文に自信がないって仰るから…」
「…そっか…」
…財前の話は本当だったのだと少しほっとする。
「ありがとうございます。
弊社の菓子をお気に留めて頂けて、大変光栄です。
職人が心を込めて作り上げましたので、皆様にご満足いただけましたら幸いです」
部下らしき若者が段ボール箱の菓子を持って来た。
「…ありがとうございます。
こちらにいただきます。
…あの…瑠璃子ちゃんとは本当に…」
羊羹より瑠璃子のことが気になる澄佳は口籠もりながら、尋ねる。
「本当に知り合いなだけだよ、澄佳さん」
早口で答える瑠璃子の言葉尻を引き取るかのように、財前が改まった様子で澄佳に向かい合う。
「…お義姉様にはお伝えしておきたいと思います。
僕は瑠璃子ちゃんが好きです。愛しています。
…瑠璃子ちゃんが成人したら、僕は正式にプロポーズしたいと真剣に考えております」
「ざ、財前さん!」
澄佳が息を呑み、夏実が
「やっば…マジか!」
と興奮したように小さく叫んだ。
…扉のカウベルが鳴り、一人の客が入ってきた。
瑠璃子は思わず声を上げた。
「涼ちゃん!」