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恋する真珠
第1章 海と真珠
「涼太さん!大変大変!
瑠璃ちゃんがプロポーズされてるんよ!」
夏実が涼太のもとに駆け寄る。
「…何だって?」
涼太がじろりと財前を見遣る。
「こんにちは、涼太さん。
お久しぶりですね」
穏やかな微笑みを湛えたまま、涼太を見つめ挨拶をする。
「…あんた、瑠璃子にプロポーズしたって?」
感情を抑えた低い声が涼太の唇から漏れた。
「そうです。僕は瑠璃子ちゃんが大人になったら、僕のお嫁さんになってほしいと思っています」
今まで店内で巻き起こるこのセンセーショナルな事態を見守っていた初老の漁師の客が口笛を吹いた。
「この店はやたらと結婚を申し込むやつが多いのう。
こりゃお熱いこったなあ。パワースポットつうやつかのう。こりゃ」
「うるせえ、ジジイ。黙ってろ」
涼太が一喝した。
「あんた、まだ子どもの瑠璃子にそういうことを言うってどういう了見をしてんだ?
瑠璃子はまだ子どもだ。
子どもを動揺させて何が面白い」
怒りを秘めたような声…。
瑠璃子は固唾を飲んで涼太の雄々しい貌を見上げる。
財前はその女好きする甘いマスクに微笑みを浮かべた。
「面白がっていませんよ。
僕は真剣そのものです。
瑠璃子ちゃんを愛していますし、瑠璃子ちゃんが大人になったら結婚して欲しいと思っています」
「だから!そういう言い方が、子どもの瑠璃子に負担になると思わねえのか⁈」
苛立つ涼太に、財前は首を傾げた。
「貴方はさっきから瑠璃子ちゃんを子ども扱いしすぎてませんか?
十四歳は決して色恋が全く分からない年齢ではありませんよ。
かのロミオとジュリエットのジュリエットはもう婚約者をあてがわれようとしていました。
しかもロミオに命がけの恋をした。
…結末は…悲劇そのものでしたが」
「生憎俺はあんたみたいに学のあるインテリじゃねえんだよ。
もって回った言い方は出来ねえしする気もねえ。
俺はな、子どもに対して不埒な感情をぶつける奴は大嫌いなんだよ」
初めて聴く涼太の激しい怒りの篭った言葉に、瑠璃子の心臓は激しく鼓動を立てる。
…涼ちゃん…怒ってる…。
すごく…すごく怒ってる…。
…でもそれは、本当に自分を思っての言葉なのだろうか?
瑠璃ちゃんがプロポーズされてるんよ!」
夏実が涼太のもとに駆け寄る。
「…何だって?」
涼太がじろりと財前を見遣る。
「こんにちは、涼太さん。
お久しぶりですね」
穏やかな微笑みを湛えたまま、涼太を見つめ挨拶をする。
「…あんた、瑠璃子にプロポーズしたって?」
感情を抑えた低い声が涼太の唇から漏れた。
「そうです。僕は瑠璃子ちゃんが大人になったら、僕のお嫁さんになってほしいと思っています」
今まで店内で巻き起こるこのセンセーショナルな事態を見守っていた初老の漁師の客が口笛を吹いた。
「この店はやたらと結婚を申し込むやつが多いのう。
こりゃお熱いこったなあ。パワースポットつうやつかのう。こりゃ」
「うるせえ、ジジイ。黙ってろ」
涼太が一喝した。
「あんた、まだ子どもの瑠璃子にそういうことを言うってどういう了見をしてんだ?
瑠璃子はまだ子どもだ。
子どもを動揺させて何が面白い」
怒りを秘めたような声…。
瑠璃子は固唾を飲んで涼太の雄々しい貌を見上げる。
財前はその女好きする甘いマスクに微笑みを浮かべた。
「面白がっていませんよ。
僕は真剣そのものです。
瑠璃子ちゃんを愛していますし、瑠璃子ちゃんが大人になったら結婚して欲しいと思っています」
「だから!そういう言い方が、子どもの瑠璃子に負担になると思わねえのか⁈」
苛立つ涼太に、財前は首を傾げた。
「貴方はさっきから瑠璃子ちゃんを子ども扱いしすぎてませんか?
十四歳は決して色恋が全く分からない年齢ではありませんよ。
かのロミオとジュリエットのジュリエットはもう婚約者をあてがわれようとしていました。
しかもロミオに命がけの恋をした。
…結末は…悲劇そのものでしたが」
「生憎俺はあんたみたいに学のあるインテリじゃねえんだよ。
もって回った言い方は出来ねえしする気もねえ。
俺はな、子どもに対して不埒な感情をぶつける奴は大嫌いなんだよ」
初めて聴く涼太の激しい怒りの篭った言葉に、瑠璃子の心臓は激しく鼓動を立てる。
…涼ちゃん…怒ってる…。
すごく…すごく怒ってる…。
…でもそれは、本当に自分を思っての言葉なのだろうか?