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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
「…ママは私が二十歳になるまで待って…て言っているんでしょう?
私は構わないよ。
苗字が変わってもいいよ。
ママと真紘さんの気持ちを第一に考えて。
…ていうか…真紘さん、ママと私に遠慮してない?」
「…瑠璃ちゃんは優しいね。
ありがとう。
でも、気にしないで。
由貴子さんの希望が僕の希望だ。
由貴子さんがそうしたいと思うことが僕にとって一番大切なことなんだ。
瑠璃ちゃんは由貴子さんの大切な宝物だ。
僕もそう思っているよ」
由貴子が淹れた東方美人を綺麗な所作で飲みながら、穏やかに答えた。
…本当に良いひとだな…。
瑠璃子は感心する。
自分の亡くなった父親とは年齢も性格も職業も違うが、由貴子を愛する気持ちは一緒のようで、それが何より嬉しい。
「…でもさ。私さ、どうせ十八歳になったら苗字変わっちゃうかもよ?」
悪戯めいた眼差しで覗き込むと、宮緒はふっと温かく微笑った。
「…涼太さん?
結婚するの?十八歳で?」
「…フフ…。涼ちゃんが嫁に来いってプロポーズしてくれることになってるから…あと一年だあ!
あ〜!長かったよ〜!」
万歳をしながら歓声を上げた途端、次の間の朱と由貴子が振り返った。
「瑠璃ちゃん、大きな声で…。お行儀が悪いわよ」
窘められ、肩を竦める。

朱はその京劇の嫋やかな女形めいた美貌を綻ばせながらしなやかに歩み寄る。
朱の動きにつれ、長袍の裾がひらりと優雅に揺れた。
「楽しそうなお話ですね。瑠璃子さん。
…恋のお話ですか?」
「わ〜、朱先生。耳ざとい!
そういうの日本語で地獄耳って言うのよ」
「はて…。そうでしたか。
何しろ私は半分は中国人ですので、日本語には疎くて…」
涼しい貌は、すべてわかって言っているのだ。
綺麗な貌をして、なかなかにしたたかだ。

「瑠璃ちゃん、先生に失礼よ」
由貴子が睨む真似をしながら、菓子の砂糖漬けの山査子と棗の実を運んでくる。
「…瑠璃子さんには結婚したい方がおられるのですか?」
向かい側の椅子に腰掛けながら、興味深そうに尋ねる。
「います。運命の恋人が!」
意気込んで答えるのに
「…まだお付き合いもしていないんですのよ。
お気になさらないで、朱先生」
さらりと由貴子に流される。
「ママってば!」
瑠璃子は頰を膨らませる。



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