パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 海と真珠

母親の由貴子と柊司はさまざまな準備のために一度東京に戻っていった。
「瑠璃ちゃんも一緒に帰らない？」
心配そうに尋ねる由貴子に、瑠璃子は首を振った。
「私はここにいる。
町とか学校とか見てみたいし…」
「…そう？」
まだ不安げな由貴子に柊司は声を掛ける。
「母様、瑠璃子は早くここの生活に慣れた方がいいですよ。
…澄佳さん、お願いできますか？」
澄佳はにっこりと笑って頷いた。
「もちろんですわ。
…近所に瑠璃ちゃんと同じ学年の女の子がいるんです。
明るくて優しくてとてもいい子なのよ。
あとで紹介するわね」
「うん！ありがとう、澄佳さん！」
澄佳の嬉しい言葉に胸が弾んだ。

…涼太さんに会ってから、いいことばかりだ。
瑠璃子はうきうきとした。

褐色の肌、頭に白いタオルを巻きつけた精悍な貌立ち、白いTシャツに黒いワークパンツ…。
漁師姿の逞しい涼太が脳裏に浮かぶ。
瑠璃子にはハリウッド映画の野性味溢れる海賊にも見えた。

…カッコいいな、涼太さん…。

由貴子と柊司を見送りながら、心は涼太を思い浮かべていた。

…涼太さん…。
また、会えるかな…。

煌めく蒼い海の波間には、白い漁船がのどかに揺れていた。