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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
…確かに涼太はあの日、瑠璃子に愛を告白してくれた。
それは疑うべくもないことだった。

そして、夏実がそっと教えてくれた事実は、瑠璃子を驚かせ…全身が朱に染まるほどに羞恥させた。
「…涼ちゃん、瑠璃ちゃんにキスしたんよ。
人工呼吸で…やけどね。
でもキスには違いないもんね!
瑠璃ちゃん、やったね!おめでとう!」

…涼ちゃんが私にキス…。
全く…欠片すらも覚えてないのが地団駄を踏むほどに口惜しい。

瑠璃子は翌日、船に乗ろうとしていた涼太を捕まえ、興奮しながらしがみついた。
「涼ちゃん!私にキスしたんだね!キスだね!キスだよ!
私のファーストキスだよ!キス…」
「うるせえ。女の子がキスキス言うな」
両頬を柔らかな餅を引き延ばすように摘まれ、おでこを太い指で弾かれた。
「人命救助だ。キスじゃねえ。勘違いすんな」
「え〜!?」
憤慨する瑠璃子を残し、涼太はさっさと船に乗り込む。
「…本物のキスは、あと四年待て」
にやりと笑いながら、涼太はふざけて敬礼して見せた。

次第に沖へと遠ざかる船に、瑠璃子は叫んだ。
「もう!涼ちゃんのバカ!」

…それから三年が経とうとしているが、二人の関係はあの日のままなのだ。


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