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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
「楽しかったよ。
上海ってすごいね。人種の坩堝だね。
真紘さんのホテルのレセプションパーティに出たんだけど、アメリカ人でしょフランス人でしょイギリス人でしょスペイン人でしょ…もちろん中国人も…。
色んな国の人がいてびっくりした。
…私、英語が少ししか喋れないから、もっと語学を勉強しておけば良かったって思った」
内房の海の町へと辿る道路を巧みに運転する柊司に、瑠璃子は賑やかに喋る。
宮緒のホテルはバンドと呼ばれる外灘にある。
直ぐ側を流れる黄浦江の対岸は浦東と呼ばれるエリアで、近未来世界かSF映画を思わせるような球体が印象的な東方明珠塔など超高層ビル群の煌びやかなイリュミネーションが輝いていた。
瑠璃子はその景色をたくさんスマートフォンで撮影して、涼太に送った。
レセプションパーティーでの瑠璃子の写真もだ。
…けれど返信はなかった。
涼太はLINEが好きではないのだ。

「上海はインテリジェンス都市だからね。
様々なビジネスチャンスを求めてありとあらゆる国のビジネスマンが集まっているのさ。
瑠璃子には良い勉強になったね」
「うん…。
でもさ、ママが大学はどうするの?てうるさくてさ。
…柊ちゃん。私、直ぐに涼ちゃんのお嫁様になるんじゃダメなの?」
柊司は、瑠璃子に優しく噛んで含めるように語りかける。
「僕は瑠璃子にはもっと色んなことを学んで欲しいな。
今も言っていただろう?語学をもっと勉強しておけば良かったって。
学びたいと言う気持ちはとても大切だ。
向上心はひとを何より成長させる。
その気持ちをずっと持ち続けて欲しいんだ。
…涼太くんは何て言ってる?」
「…大学行けって…。
行きたくても行けない子がたくさんいるのに、贅沢だ…て」

…俺も澄佳も出来れば大学に行きたかったけど、家業を考えて進学を辞めたんだ。
そのことを悔やむ時がないわけじゃない。
…瑠璃子には後悔して欲しくねえんだよ。
涼太の眼差しは真摯に真っ直ぐで、瑠璃子は口を噤んだ。
「…でも…」
…十八歳になったらプロポーズしてくれるんじゃなかったの?
そう聞きたかったのに…涼太の答えが怖くて尋ねることはできなかったのだ。


「さすがは涼太くんだ。瑠璃子のために思っての言葉だよ」
柊司は深く頷いて、ハンドルを切った。

…車窓の風景は、見慣れたのどかなあの小さな海の町へと変わり始めていた。










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