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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
車が紫陽花食堂の駐車場に入る手前に差し掛かると、瑠璃子は叫んだ。
「あ!涼ちゃんだ!」
駐車場の奥、涼太の白い軽トラが見えたのだ。
…涼太は軽トラに寄りかかり、煙草を燻らせていた。
白いTシャツにブラックデニム、足元はワークブーツ。
何の飾り気もないスタイルだが、長身で逞しい体躯の涼太が着ると痺れるくらいにかっこいい…と瑠璃子はどきどきと胸を高鳴らせた。
「柊ちゃん、止めて!」
柊司がサイドブレーキを引くや否や、瑠璃子は車外に飛び出した。
「涼ちゃん!来てくれてたの?」
息せき切って駆けつけた瑠璃子に男らしい唇を歪め、煙草を燻らす。
「メシを食いに来ただけだ」
「嘘!もう、ランチの時間は終わってるもん」
瑠璃子は涼太に抱きつく。
分厚く硬い胸板に貌を埋める。
…海の匂い…煙草の匂い…それから、涼太の匂い…。
柊司とも宮緒とも違う涼太だけの匂い…それはどこか猛々しく野蛮な香りめいていて、いつも瑠璃子の心を昂らせるのだ。
「会いたかったよ…。涼ちゃん…」
しがみつく瑠璃子の肩を軽く押し返す。
「…おい、兄貴が見てんぞ」
振り返ると、車のトランクから柊司が苦笑しながら瑠璃子のスーツケースを取り出していた。
「…お店で話したら?
もうクローズになっているからゆっくり話せるよ。
…僕は澄佳とドライブしてくる」
やっぱり柊司は話が分かる。
瑠璃子は弾けるような笑顔を兄に向けた。
「ありがとう、柊ちゃん!」
店の裏手へと軽々とスーツケースを運ぶ柊司を見送り、大好きな涼太を見上げる。
…ブロンズ色の綺麗な肌に精悍な目鼻立ち…。
無精髭も男らしくて…本当にワイルドで荒々しい海賊みたいだ…。
「行こう、涼ちゃん」
瑠璃子は涼太の分厚く大きな手を握りしめた。
…手を繋ぐことだけは涼太は許してくれるのだ。
涼太は黙って眩しげに瑠璃子をみつめ、少しだけ笑った。
「…お帰り、瑠璃子」
そう言って一瞬だけ、瑠璃子の手をぎゅっと強く握りしめたのだった。
「あ!涼ちゃんだ!」
駐車場の奥、涼太の白い軽トラが見えたのだ。
…涼太は軽トラに寄りかかり、煙草を燻らせていた。
白いTシャツにブラックデニム、足元はワークブーツ。
何の飾り気もないスタイルだが、長身で逞しい体躯の涼太が着ると痺れるくらいにかっこいい…と瑠璃子はどきどきと胸を高鳴らせた。
「柊ちゃん、止めて!」
柊司がサイドブレーキを引くや否や、瑠璃子は車外に飛び出した。
「涼ちゃん!来てくれてたの?」
息せき切って駆けつけた瑠璃子に男らしい唇を歪め、煙草を燻らす。
「メシを食いに来ただけだ」
「嘘!もう、ランチの時間は終わってるもん」
瑠璃子は涼太に抱きつく。
分厚く硬い胸板に貌を埋める。
…海の匂い…煙草の匂い…それから、涼太の匂い…。
柊司とも宮緒とも違う涼太だけの匂い…それはどこか猛々しく野蛮な香りめいていて、いつも瑠璃子の心を昂らせるのだ。
「会いたかったよ…。涼ちゃん…」
しがみつく瑠璃子の肩を軽く押し返す。
「…おい、兄貴が見てんぞ」
振り返ると、車のトランクから柊司が苦笑しながら瑠璃子のスーツケースを取り出していた。
「…お店で話したら?
もうクローズになっているからゆっくり話せるよ。
…僕は澄佳とドライブしてくる」
やっぱり柊司は話が分かる。
瑠璃子は弾けるような笑顔を兄に向けた。
「ありがとう、柊ちゃん!」
店の裏手へと軽々とスーツケースを運ぶ柊司を見送り、大好きな涼太を見上げる。
…ブロンズ色の綺麗な肌に精悍な目鼻立ち…。
無精髭も男らしくて…本当にワイルドで荒々しい海賊みたいだ…。
「行こう、涼ちゃん」
瑠璃子は涼太の分厚く大きな手を握りしめた。
…手を繋ぐことだけは涼太は許してくれるのだ。
涼太は黙って眩しげに瑠璃子をみつめ、少しだけ笑った。
「…お帰り、瑠璃子」
そう言って一瞬だけ、瑠璃子の手をぎゅっと強く握りしめたのだった。