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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
「…おい、その服。
丈が短すぎるぞ」
無人の店内に入るなり、涼太はぶすりと指摘した。
「え?そう?可愛いでしょ?
ママが作ってくれたんだよ。このチャイナドレス」
瑠璃子はショート丈のチャイナドレス姿でポーズを付ける。

…南京東路の由貴子が行きつけのチャイナドレスの店でオーダーメイドで作ったその服は、オペラピンクのシルク地に濃紅色の薔薇が手刺繍で施されている。
丈はすらりと伸びた瑠璃子の脚の膝の上くらい…脇にスリットが入りセクシーなデザインだ。
上はスタンドカラーでノースリーブの為に身体のラインが露わになる。

…「チャイナドレスは身体にフィットしたものでなければ意味がないのですよ。
世界で一番セクシーで女性らしい服なのです」
…本当に綺麗で可愛らしいお嬢様ですこと…。
砂糖菓子でできているみたいに無垢でいらっしゃる。
お嬢様の恋人はお幸せですね。
店のマダムはそう言って妖艶に笑った。


シルバーホワイトのストラップミュールに合わせたら大人びて見えて嬉しかった。
上にふわりとした白いサマーニットを羽織ってきたから、そう派手だとも思わなかったが、帰路の機内で隣席のアメリカ人のビジネスマンに熱心に口説かれた。
…これは涼太には言わないでおこう…。
瑠璃子はそっと思った。

「…ふん。馬子にも衣装だな」
涼太はそっぽを向いて鼻を鳴らした。

…なんだよ、もう…。
いつもそうなんだから…。
瑠璃子はむっとしつつも気を取り直し、笑いかける。
「涼ちゃんにお土産だよ。はい、紹興酒。
こっちは涼ちゃんパパに、腰痛に効く漢方。涼ちゃんママには美白クリームと…あとこれ、ママが配合した中国茶、白牡丹…てお茶。
さっぱりして美味しいよ」
バッグから次々とお土産を渡す。
「…ありがとう。オヤジたちも喜ぶ」
きちんと礼を言うのが涼太らしい。


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