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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
瑠璃子の土産話に涼太は淡々と耳を傾けてくれた。
お喋りな瑠璃子の話を決して煩がらずに…退屈な素振りもせずに聞いてくれる。
時々短い相槌を打ちながら…微かに笑いながら…。
決して嫌々付き合っているのではないことは、瑠璃子にも分かる。
涼太はとてもシャイなのだ。
…けれど少し不満を漏らしてみる。
「…涼ちゃん、全然LINEの返事くれないんだもん」
「俺はスマホはめったに見ねえんだよ」
船の上じゃあそんな時間もねえしな…とつぶやきながら瑠璃子が淹れたコーヒーを一口飲む。
「…上海の夜景、たくさん送ったのに…。
それから、周荘ていう水郷の町に行ってママたちと夜の船遊びをしたんだよ。
雪洞が綺麗でさ…。船頭さんが舟唄を歌ってくれたの。
涼ちゃんに見せたくてさ…。
あの写真も…」
「…見たさ」
涼太は無造作に言い置いて、カウンターに向かった。
「…船遊びにホテルのパーティ…。南京路やフランス租界…。
どの瑠璃子もみんな綺麗で可愛かった…」
…いつもの無愛想な声…。
けれど、いつもはこんなことは決して口にしないのだ。
「…涼ちゃん…?」
「…信じられないくらいに綺麗できらきらしていて…。
華やかな場所にいて、映画に出てくる女優みたいなドレスを着て、たくさんの外国人に囲まれて…。
まるでどこかの国のお姫様みたいだった…。
…俺みたいなおっさんには勿体ねえな…て、思ってたさ」
瑠璃子は椅子を蹴飛ばすように立ち上がり、涼太の頑強な分厚い背中にしがみつく。
「涼ちゃん!そんなわけ、ないじゃん!」
「…俺には勿体ないって分かっているけど、可愛いくて手放せねえんだ…」
低く唸るように呟くと涼太の身体が回転し、素早くその逞しい胸に抱き込まれた。
「涼ちゃ…」
「…これ以上はしねえから…じっとしててくれ…」
「…涼ちゃん…」
瑠璃子は息を呑む。
…いつもの子どもをあやすようなハグとは明らかに違う…狂おしいような涼太の息遣いが感じられるような熱い抱擁だった。
お喋りな瑠璃子の話を決して煩がらずに…退屈な素振りもせずに聞いてくれる。
時々短い相槌を打ちながら…微かに笑いながら…。
決して嫌々付き合っているのではないことは、瑠璃子にも分かる。
涼太はとてもシャイなのだ。
…けれど少し不満を漏らしてみる。
「…涼ちゃん、全然LINEの返事くれないんだもん」
「俺はスマホはめったに見ねえんだよ」
船の上じゃあそんな時間もねえしな…とつぶやきながら瑠璃子が淹れたコーヒーを一口飲む。
「…上海の夜景、たくさん送ったのに…。
それから、周荘ていう水郷の町に行ってママたちと夜の船遊びをしたんだよ。
雪洞が綺麗でさ…。船頭さんが舟唄を歌ってくれたの。
涼ちゃんに見せたくてさ…。
あの写真も…」
「…見たさ」
涼太は無造作に言い置いて、カウンターに向かった。
「…船遊びにホテルのパーティ…。南京路やフランス租界…。
どの瑠璃子もみんな綺麗で可愛かった…」
…いつもの無愛想な声…。
けれど、いつもはこんなことは決して口にしないのだ。
「…涼ちゃん…?」
「…信じられないくらいに綺麗できらきらしていて…。
華やかな場所にいて、映画に出てくる女優みたいなドレスを着て、たくさんの外国人に囲まれて…。
まるでどこかの国のお姫様みたいだった…。
…俺みたいなおっさんには勿体ねえな…て、思ってたさ」
瑠璃子は椅子を蹴飛ばすように立ち上がり、涼太の頑強な分厚い背中にしがみつく。
「涼ちゃん!そんなわけ、ないじゃん!」
「…俺には勿体ないって分かっているけど、可愛いくて手放せねえんだ…」
低く唸るように呟くと涼太の身体が回転し、素早くその逞しい胸に抱き込まれた。
「涼ちゃ…」
「…これ以上はしねえから…じっとしててくれ…」
「…涼ちゃん…」
瑠璃子は息を呑む。
…いつもの子どもをあやすようなハグとは明らかに違う…狂おしいような涼太の息遣いが感じられるような熱い抱擁だった。