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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
「…へえ…。
そんなことがあったんだ」
バレエ教室のレッスン後、近くのカフェでタピオカミルクティを飲みながら、瑠璃子は麻衣に涼太との一件を打ち明けたのだ。

「いよいよ瑠璃ちゃんもロストバージンかあ〜!
お姉さんは寂しいような嬉しいような複雑な気持ちだよ」
芝居掛かって首を振る麻衣は横須賀の外資系船会社に勤務する優雅なOLだ。
発表会で瑠璃子と「海と真珠」を踊って以来、大の仲良しでレッスンの後にお茶を飲んでおしゃべりしたり、休日に麻衣のマンションに泊まって中華街で飲茶を食べたりと友だち付き合いを続けているのだ。

涼太との明け透けな話は夏実にはさすがに出来なかった。
夏実の兄は涼太の幼馴染みだし、狭い海の町のこと…。
夏実は口が硬いが、何となく話が漏れて涼太に迷惑がかかっても…と思うからだ。

その点、麻衣なら涼太と面識はないし海の町の人々とも接点がないので、気兼ねなく相談ができたのだ。
…今年二十八になる歳上の麻衣は、アメリカの帰国子女で考え方もフレキシブルだ。
恋愛経験もなかなかに豊富で、瑠璃子に良いアドバイスをくれることが多かった。

「やだ、麻衣さん。まだですよ。
…てか、涼太ちゃんにその気がないんだもん。
…私が押し倒すわけ、いかないし…」
タピオカミルクティのストローをくるくる回しながら、瑠璃子はため息を吐いた。

「なら、押し倒しちゃえば?」
麻衣があっさりと告げる。
「へ?」
「瑠璃ちゃんはしたいんでしょ?涼ちゃんと。セックス」
瑠璃子は慌てて周りを見渡しながら、頷いた。
「…は、はい。
したいです。…だって…早くしないと誰かに涼ちゃんを取られそうだし…」
…それに…。
「…もっともっと…涼ちゃんを知り尽くしたいんです」
…身も心も全部知りたい。
澄佳と柊司のように…。
涼ちゃんを全部感じたい。
「だって、大好きなんだもん。私、涼ちゃんのお嫁様になるって決めてるんです」
「じゃあ、問題なし!
…あ、でもこれだけは麻衣おねえさんと約束して。
避妊は絶対してね。それから途中で嫌になったら我慢しないで嫌と言うこと。
それでも続けようとする男なら別れた方がいいからね。
…それから…」

麻衣は本物の姉のように優しく微笑み、瑠璃子の髪を撫でた。
「セックスはフィジカルな愛のコミニュケーションだからね。
…瑠璃ちゃんが幸せなセックスができますように…」




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