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恋する真珠
第2章 恋するカナリア
…船首の先…夜の大海原の向こうに、内房の町の灯りがきらきらと煌めき始めた。
その景色を見ると、いつもほっとする。
自分の道標を見つけたような気がするからだ。
…涼ちゃん…どうしているかな…。
今日は漁協の青年部会があるから、迎えには行けない。
そう言われていた。
「タクシーで帰れ。いいな」
と念を押され、タクシー代を押し付けられた。
「…うん。分かった…」
涼太は瑠璃子の十七歳の誕生日を忘れてはいなかった。
澄佳の家で開かれた誕生日祝いにも来てくれた。
きちんとした仕立ての良い白いシャツに黒いスラックス、革靴を履いて…。
逞しい体躯の涼太が改まった服装をすると、まるで欧米人のモデルのように成熟した雄々しい男の魅力に満ち溢れていて、瑠璃子は思わずため息を吐いた。
ちゃんと誕生日プレゼントもくれた。
…プレゼントは、最新版の電子辞書だった…。
「学生は勉強しろ。
大学生にちゃんとなれ」
「…ありがとう…」
…嬉しかったけれど、少し落胆した。
…本当は、もっとロマンチックなものが欲しかったからだ。
…あれから、二人の距離はそのままで…近づくことはなかった。
キスもあれっきりだ。
…まるで、あんなことは夢か何かだったのではないかと思ってしまうほどに、涼太は淡々と瑠璃子に接するのだ。
…麻衣さんは押し倒せって言うけど…そんなことしても上手くいくのかな…。
一人になると皆目自信がなくなる。
涼太の落ち着き払った大人の佇まいが、時としてとても憎たらしくなる。
…涼ちゃんのばか…。
「…涼太さんとは、どうなの?」
財前に不意にぽつりと尋ねられ、瑠璃子はどきりとする。
「…え?」
「もうお付き合いをしているの?」
その景色を見ると、いつもほっとする。
自分の道標を見つけたような気がするからだ。
…涼ちゃん…どうしているかな…。
今日は漁協の青年部会があるから、迎えには行けない。
そう言われていた。
「タクシーで帰れ。いいな」
と念を押され、タクシー代を押し付けられた。
「…うん。分かった…」
涼太は瑠璃子の十七歳の誕生日を忘れてはいなかった。
澄佳の家で開かれた誕生日祝いにも来てくれた。
きちんとした仕立ての良い白いシャツに黒いスラックス、革靴を履いて…。
逞しい体躯の涼太が改まった服装をすると、まるで欧米人のモデルのように成熟した雄々しい男の魅力に満ち溢れていて、瑠璃子は思わずため息を吐いた。
ちゃんと誕生日プレゼントもくれた。
…プレゼントは、最新版の電子辞書だった…。
「学生は勉強しろ。
大学生にちゃんとなれ」
「…ありがとう…」
…嬉しかったけれど、少し落胆した。
…本当は、もっとロマンチックなものが欲しかったからだ。
…あれから、二人の距離はそのままで…近づくことはなかった。
キスもあれっきりだ。
…まるで、あんなことは夢か何かだったのではないかと思ってしまうほどに、涼太は淡々と瑠璃子に接するのだ。
…麻衣さんは押し倒せって言うけど…そんなことしても上手くいくのかな…。
一人になると皆目自信がなくなる。
涼太の落ち着き払った大人の佇まいが、時としてとても憎たらしくなる。
…涼ちゃんのばか…。
「…涼太さんとは、どうなの?」
財前に不意にぽつりと尋ねられ、瑠璃子はどきりとする。
「…え?」
「もうお付き合いをしているの?」