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恋する真珠
第1章 海と真珠
綺麗なブロンズ色の肌の中、黒々とした切れ長の瞳が瑠璃子をじっと見上げる。

…近くで見ると、涼太は驚くほどに雄々しく野性味ある中に整った貌立ちをしている。
鍛え上げられた大柄な体躯はまるで美しい西洋絵画に描かれるラテン男のそれだった。

本当に…本当にカッコいい…!
瑠璃子は身近な大人の男性は、兄の柊司だけしか知らない。
柊司は大変な美男子で長身でスタイルも良いが、それはどこか貴族的なスタイリッシュなもので、涼太のようにいかにも海の男といったやや野蛮な匂いさえする野性的な魅力とは異なっていた。
だから瑠璃子にとって涼太の存在は、初めて見る成熟した逞しい大人の男だったのだ。

瑠璃子はどきどきしながら、祈るような気持ちで涼太の返事を待った。

「…好きにしろ」
ぼそりと答え、味噌汁のお椀を日焼けした大きな手で取り上げる。
瑠璃子は喜び勇んでカウンター席に戻り、自分の膳を取りに行った。

「お邪魔します」
神妙に頭を下げ、向かいの席に座ると涼太は小さく笑った。
それはどこか温かみのある笑いで、瑠璃子は心底ほっとした。
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