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永遠の愛のカタチ
第3章 ふたりの出会い、ふたつの家庭
「は?」
「問題はこのアパートの壁が異常に薄いこと……。だから引っ越したい!
冬和がいくら泣いても迷惑にならないように一軒家に住みたいの!」
話しにくい内容を緊張しながらもなんとか言えてモヤモヤしていた気持ちが少し楽になった。
しかし、お金の話があまり得意ではない祐はあまりいい顔をしていない。
こんな気持ちにさせるのも嫌だから話すのにずっと躊躇していた。
「家か……」
「土嶋さんと椿さんは家を建てるらしいよ。私たちもそういう歳に近づいてるかなって思って」
しかも、私が少し言いすぎたせいで悲しい顔をされてしまう。
……これは言うべきじゃなかった。
「先輩たちは先輩たちだろ……。うちはうちだし……」
「うっ……」
祐が転勤してから給料が上がったと言ってもほんの少し。
出産してから花屋の仕事は休んでいるし、親からの援助があるわけでもない。
通帳の貯金からは引かれるものだらけで生活費はカツカツだし、簡単に引越しできるほど裕福でなかった。
「ごめん……。一軒家に住みたいなんて贅沢だよね……」