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微妙なお年頃
第2章 ああ、良き女子友よ
「なによ、誘惑って?」
「実はね、してるの…!」
「してるって、なにを?」
話の見えなさに、コズエは椅子の背もたれに身を預ける。
すると今度は文子の方が身を乗り出してきた。
「決まってるでしょ!・・浮気!」
突き出された顔のおちょぼ口からとんでもない囁きが吐き出された。
「えっ!ほんとに・・してるの?」
息も絶え絶え、ぽかんと口を開けるコズエの表情を面白そうに見ている文子の顔が、
揺れて見える気がした。

 週刊誌とかで最近目にする、主婦の浮気事情。
あんな記事、どうせヤラセなんだろうと半信半疑だったが、
自分の目の前に当事者がいるということは、本当だったんだと
驚きに呼吸も忘れるコズエであった。
「で、相手はどんな?」
ここまで聞いたらもっと詳しく聞きたい。先を急ぐコズエの声はうわずった。
「配管工なんだけどさ・・干支、一緒なの」
聞いて、一瞬間があった。干支…干支…え?
「その言い方だとまさか・・一回り、下?」
「そう、12歳年下なの。いいわよぉ!」
思わず唾液があふれだしそうになる。いいって、そりゃいいだろうよ、そんなに若けりゃ。
でもよくもまあその相手も…と、その言葉はぐっと飲みこんだ。


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