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微妙なお年頃
第5章 中年女子、次から次へ
 それにしても、拓哉という男がこれほどまでに饒舌に
自身の都合のよさをペラペラと喋るとは驚きだった。
ここまでは交わる行為に夢中になって、どんな人間なのかなんてこと
大して気にしていなかった自分自身を少し反省した。
彼の方はあんなにも分析して相手を選んでいたというのに。
節操なく快楽におぼれていたのは自分のほうなのだと、今思い知らされた。
浮気って、感情に流されてやるものじゃないわね、と心の中で自分を笑いながら、
今度は私の番だと声を上げた。

「今日いつもと違うホテルを選んだのはね、二人の一周年記念の他に私にとっても記念、
 っていうか区切りでもあるからなの」
にこやかに肩の力を抜いて笑顔を見せるコズエに、拓哉は不思議そうに首を傾げた。
「じつはね、あなたと関係してからね、こなかったの、生理。
 そのことに気付いた時にはあせったわ。だって最初っから使ってなかったでしょ、
 コンドーム。まさか、もしかしたらって考えただけでめまいがしたわ。
 でも大丈夫、できちゃったんじゃなくて、終わったの、そう、閉経ってやつ」
男の前で楽し気に話すような内容じゃないのに晴れ晴れとしているコズエの顔を、
拓哉はぽかんと口を開けて眺めていた。
仕方あるまい。若い男には、いや男には一生かけても理解できない事だから。
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