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微妙なお年頃
第1章 中年女子の浮気事情
 驚きはこれだけじゃない。
初めての食事の後、拓哉はコズエを女として扱ったのだ。
かなりの長い年月、忘れてしまっていた恥じらいを、一気に思い起こさせてくれた。
そう、薄暗い部屋の、ベッドの上で。

「また…水島さんとこうして過ごす時間を持ちたいんだけど…どうかな?」
脂がのりにのった30代の男の腕の中でこんなセリフを聞かされたら、
思考回路は混線して、正常な機能を果たせなくなってもおかしくはない。
大きく肯き男の胸に顔をうずめた。
「うれしい・・わたしもあなたに・・でも、わたしなんかでいいの?こんなオバサンで」
どうしてこの男が自分を選んだのか、不思議だなとも思う。
何か目的でもあるのか、ただ単にセックス好きなのか。
急にあれこれ考えが浮かんできたが、別にどうでもいい事か。
だって、浮気にちゃんとした理由なんてあるわけないんだから、
とすぐに恥じらう女を演じ、一応謙虚に聞き返す。すると…
「年齢とか関係ないよ。オレ…水島さんが欲しいんだよ」
ここまで言われたらもう正常な判断ができなくても当然だ、と開き直った中年女は、
これから始まる甘味な情事への期待だけを募らせたのである。





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