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微妙なお年頃
第1章 中年女子の浮気事情
⁑
ベッドの上で体を丸める。今日も隣りに横たわる若い男に満たされた。心も体も。
この半年の間にすっかり体は改善された。
50代になってますます固くなった身体はこれまでほったらかしにしていたせいで、
肩は凝るわ腕は上げづらくなるわで、老化をひしひしと感じるばかりであった。
・・ほんと、体に悪いわよね・・
解っていてもなかなか行動を起こせなかったが、
半年前に隣駅にオープンしたスポーツクラブでお試し入会をしたのをきっかけに、
体の大切さをひしひしと感じるようになった。
それだけじゃなく・・同じ体でも、別の大切さ。そこにも気づかされたし、反応した。
だから、4か月前からのこの密室での個人レッスンはコズエにとって
重要な時間なわけである。
「だんだん柔軟になってきたね。いいことだよ。年取るとどうしても体が硬くなる。
仕方ないけど、今から気をつけていないと、もっと年取ってから困るからね。
よくあるじゃん、ちょっと転んだだけなのに骨折、とかさ」
身支度を整えながらコズエにそう語りかける拓哉は、
すっかりインストラクターの顔に戻っていた。
「うん、よく聞く話だわ。病院の待合室とかでね。
自分がそんなになったらって考えたら・・
やっぱり今から気をつけなきゃね。いや遅いくらいかもしれないわ」
全身で溜息をついた。そんなコズエを後ろから抱きしめながら、
「大丈夫、オレがちゃんとレッスンするからさ。もう効果、あらわれてるでしょ?」
唇を耳たぶに押し当てながらそう囁く彼の本心を、想像してみるがわからない。
・・この人、私をどうしたいのかな?まあいいか。
私だって彼の体しか求めてないんだし。
何かとんでもない事でも起きない限り、このままだらだらと関係が続いていっても・・
コズエは壁を見つめながら、今というこの瞬間だけに集中しようと思った。