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揺れる世界の秘め事
第10章 秋空のフェスティバル
午後3時くらいに劇が始まるそうなので、
二時間くらいは回れる。

二つ目のクラスから出たところで
リカが空気を読んだのか、ピタリと足を止める。
それに気付き後ろを振り返る。

「ん、リカ?」
「あー。アタシ中等部の家庭科室行くわ。別行動ね」
「ん、そうなの?私達も行く?」

今いるところが高等部なので少し遠いが、
私は特に行きたい場所もないのでリカの後をついて行こうか考える。

中等部の家庭科室…。
ちらりと校舎案内を見ると料理教室と書いてある。

へぇ、珍しい。リカは料理が好きじゃないのに。
その思考がそのまま顔に出てたらしく、あのねぇ…とため息まじりで見られる。

「まぁ…あれよ、自分で作れば食い放題じゃない」
そう笑う彼女を見て、ああ、なるほど。と頷く。
「うん、わかった。包丁で指切らないでね?
二時半にコンサートホール前かな」
「ん、了解」

手をヒラヒラと振り少し早足で歩いていく恋する女性を見つめ、
ふと背後で静かにしている有馬君に視線を向ける。

「…ん?何?」
すぐに気付かれ、パチリと目が合う。
「なんだか静かだなぁって」

見つめていたのがバレ、少し照れ笑いをする。
「まぁ、親友同士のってか、女子同士の会話に混ざれねぇよ」
「ん、そうなの?…そっか。んー、有馬君は行きたい所とかあるの?」
私はどこでもいいよ。と付け足して有馬君を見る。
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