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揺れる世界の秘め事
第3章 気だるい肢体~オフィスにて~
「……はぁ」
本日何度目かのため息をつく。
仕事中なのに意識がそれてしまう。
それもこれも朝の…あの出来事の…
「あれ、センパイどうかしました?」
「ん……うん、ちょっとね…」
給湯室でコーヒーをカップに注いでると
コーヒーを飲みに来たらしい、少し濃い茶色の髪と瞳の男性がテーブルに腰をかけながら首をかしげて見つめていた。
確か名前は…有馬純平君…だった、かな。
今年入社した高卒の新入社員で社内でも男友達が多く、女性にも人気があった気がする。
身長は180手前くらいでイタズラっぽい笑顔が特徴。
そんな彼に苦い笑みを浮かべ『とりあえず降りなさい』と口にする。
「今日体調悪いの?」
コーヒーの紙コップをくるくるまわしている姿に、幼さが残っている。
心配そうにしてくれるのはありがたいけど……
「こら…敬語は?…でも、心配してくれてありがとうね」
「んー」と軽い返事をする有馬君に薄く笑って席を外す。
もう身体の疼きはおさまっている。
が……集中が途切れてしまう。
あの男が誰なのか…
どこから、いつから目をつけられていたのか…
あちらは私を知っているのか…
不安で悪いことばかり考えてしまう。
このままじゃ駄目だ。
仕事に影響がでてしまう。
…後輩に心配されるのも悔しい。
ぐいっとブラックコーヒーを飲み干し苦さに顔が歪みかける。
それをこらえ、気持ちを入れ換える
「………よし」
一言呟いてから自分のスペースに戻り、仕事を再開する。