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揺れる世界の秘め事
第13章 事情後のベッド

「もうない?質問」
するすると体をなぞるように動く純平くんの腕がくすぐったくて身をよじる。

「ぁ…ごめ、もう一個だけ聞いていい?」
「うん?どーぞ?」

純平くんのスイッチが入る前にもうひとつだけ質問をする。

「最中の時、とか、さっきもだけど。純平くんて私と以前あった事あるの?
それなら覚えて無くて申し訳ないけど…」

時折、前から知ってる素振りをされて、疑問が残ってた。

「……ぁー……ああ、まぁ、覚えてねぇだろうな、話したの一度だけだし」

「えぇ!?い、いつ?」
照れたような、いじけたような、気まずそうな声を出され慌てる。
純平くんほどの男を忘れるような事はさすがの私でも無いと思うんだけど…。

「えー、たしか俺が高2の中頃?ダチに誘われて仕方なくナンパするってなって…確か時間なさげだった私服の麻美さんの足止めさせて探し物手伝ってもらうって感じのナンパ。で、名刺ゲットした」
「え、…えええ、…ぅ、うん。あった……けど」

覚えている。
というか忘れられなかった。
やけに軽そうなカッコイイお兄さんが声をかけてきたなぁ…と。
人生で何度も無いだろう大きな事件のひとつだったんじゃないかな。

「かなり真剣に探し物手伝ってくれて、ついでにお礼にって時間聞いたら慌てだして『今日はこれから予定があるから、ごめんなさいっ』って言われてじゃぁって連絡先聞いたら名刺渡されて。笑顔可愛いしマジいい子だし一目惚れだったんだけど、年下か同い年くらいと思ったら少なくとも2つは年上だし。名刺とか初めてもらったし」

なのになぁ…と呟いてからこちらを恨めしそうに見つめる。
『覚えてねぇんだもん…』と目が言っていてあわてて逸らす。
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