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揺れる世界の秘め事
第16章 お出かけデート
「……って、ここ?」
足を止めた純平くんが指差したお店を見て固まる。
おしゃれ関係に疎い私でも聞いた事のある洋服店。
近々二店舗目を開くなんて噂のある、逆に言うと本店舗とインターネットのみで爆発的な人気を出しているお店。
「…わぁ…」
純平くんに連れられて入ってみると、女性なら一度は憧れるようなお姫様のような服から、少しセクシー、かっこいいといった服もあって。もちろんレディースだけじゃなくてメンズもたくさんある。服の天国か。なんて本気で思ってしまう。
「ふふ、麻美さんすげぇ嬉しそう」
「だ、だって!すごいよ!一度は憧れるような服だらけだよ!」
子供みたいにはしゃいでる私を見て純平くんが面白そうに笑う。
「じゃぁ、俺が選んじゃってもいい?」
にっこり笑った純平くんの瞳に一瞬何かを見た気がしたけど、すぐにこくこくと頷く。
これだけ服があると目移りしちゃう。どれも全部素敵だし、純平くんの気に入ってる理由もすごくわかる。
「いらっしゃいませ、気に入ったものはありますか?」
あっちこっちをキョロキョロしていると、後ろから優しい声をかけられる。
くるりと振り返ってお兄さんを見る。
歳は…高校生くらいに見える。黒髪にいくつか赤いメッシュの入った男性。身長は170ないくらい、少し垂れ目で深い青の瞳。カッコイイというよりキレイ、もしくは可愛いという印象の方が強そうかな、なんてぼぅっと見惚れていると目の前の男性が首をかしげる。
「あの?」
「あ、あぁ、すいません。素敵なお洋服ばかりではしゃいじゃって」
少し恥ずかしくて俯くとやわらかい笑顔を向けられる。
「ありがとうございます。そう言ってもらえると服も喜びます」
その言葉にあれ、と思った。
なんだかその言い方だとこの人が作ったような感じがするから。