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揺れる世界の秘め事
第16章 お出かけデート
「えっと、もみじ…さん?着ました、けど」
どうしたらいいかわからずとりあえず声をかける。

少し離れた所から「あぁ、はい」と声がかかったので試着室のカーテンを開ける。
純平くんは自分の服を見てるのかな、見かけなかった。
モミジさんが近寄ってきて「うわぁ…」と一言呟く。

「ど、どう、ですかね?」
その反応がよくわからなくて少し焦る。

「あぁ、すごくかわいいです。着る人がいいから服も数倍輝いてて。
作ってよかったって思えるくらい」

少しだけ照れたように笑うもみじさんを見て、なんだかこちらまで照れてしまう。
純平くんが少しヤンチャな高校生、って感じだとするとこの人は純粋な弟みたいな。

「ああえっと、メイクは裏でなんで来てください。他にジュンに靴とかも選ばせたんでそこらへんも裏回しました」
「はい。わかりましたっ」

もみじさんについていって個室へ入っていく。
促されるまま鏡の前にある椅子に座る。

「髪つやつやですね。痛んでない」
さらりと縛ってないままの髪を撫でられる。
「ん、本当ですか?あまりケアとかしませんから不安ですけど」
と笑うと簡単なケア方法を教えてくれる。
他にもヘアアレンジから私に似合うメイクの仕方なんかも教えてもらって、すごい参考になる。

「へぇ…やっぱり詳しいんですねぇ…」
「可愛い服に可愛いメイク、好きな人のために努力する女性が好きなんです」

鏡越しに見つめて言われ、ドキリとする。

少しだけふわっと感じるもみじさんの香水とか、さっきの少し妖しい…男の瞳。

さっきのを言葉通りの意味で取るべきか、取らないべきかを少しだけ考えるけどすぐにやめる。だって純平くんの友人だし。友人の彼女に変な気は起こさないでしょ。

「もみじさんって、高校時代の純平くん知ってます?」
「紅葉って呼んでください。さっきから少し気になってました。
ええと…ジュンか、高校の時は遊び友達でしたね」

さらっと受け流しそうな雰囲気で名前の指摘をされて一瞬本気で受け流しかけた。
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