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揺れる世界の秘め事
第16章 お出かけデート
少し落ち着いて、沈黙が寂しくなった時にダイミングよく純平くんがそういえば、と声をかけてくれる。こういう所がまたイイ。
「麻美さんって動物とか魚とか好き?」
「うーん…結構好きだよ、一番は小動物かなぁ…ハムスターは子供の時飼ってたよ。純平くんは?」
「へぇ…俺は嫌いじゃないけど飼った事ねぇなぁ…」
純平君はりねずみとか似合いそうだなぁ…
他にも大型犬とか、なんてほほえましくなる。
「そっかぁ、じゃぁ犬派?猫派?」
「んー……どっちかって言ったら犬かな。大型のがイイ」
「私も犬かな、猫も好きだけどね」
一緒に飼えたら楽しいだろうな、なんて考える。
それから互いに互いを質問しあう。
もっと私のことを知って欲しくて、もっと純平くんの事がしりたくて。
カランコロンとベルが鳴ってから扉が閉まると、純平くんの後をついていく。
「ごちそうさま、本当に出さなくていいの?」
「毎回言ってるし。俺が出すからいいって」
「うぅ~…でもなんか、んー…」
私だって働いてるし…先輩なのになぁ…
そんな不満にすぐ気付いて純平くんが私に手を差し出す。
「じゃぁ手繋いで」
「え、あ、うんっ」
指を絡めて手を繋ぐ。
こんな事で誤魔化されてしまうのも悔しいけど嬉しいから仕方ない。
どこへ向かうのかな、とついていくと駅の方面へ向かっていく。
あぁ、そっか。順平くんのお家向かうんだっけ…、とのんきに考えていると繋がれた方の腕がクイっと引っ張られ、裏路地へ入っていく。
「あ、あれ、純平くん?」
駅向かわないの?と少し不安まじりでついていくと奥のほうへ連れて行かれ、すぐに行き止まりへたどり着く。
何だろう、道間違えたのかな…とも思ったけど迷わず歩いてきていたってことは目的地なのかもしれない。
……ここが?