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恋する男子に恋をした
第8章 おまけ(2) 初温泉
蜂屋は俺を鼻で笑い、布団に入れると、追い焚きをしに洗面所に行った。

俺は……複雑な気分のまま、布団にもぐった。

蜂屋がもどって来てくれたのはすごく嬉しいが、前のようにお互いが必要だと思えるくらいの関係に戻れるのだろうかと考えてしまう。


好きだけじゃ、ダメな気がする。


「……オーちゃん?」


頭まですっぽりとかぶった俺の布団を捲り、蜂屋は俺の顔を見ようとするが、何となく目を合わせられずに枕に顔をうずめた。


「顔……見せてよ?」


苦笑する蜂屋に肩を持たれても、振り向けないのは自分の中で思いつめてしまっているから。

こんな思いは二度としたくない。


「っ蜂屋……」


「何?」


「俺の事、ちゃんと振ってからどこか行け」


「は?っオーちゃん、思いつめすぎ!!」


そう軽くあしらう様に笑った蜂屋だったけど、俺はマジだった。

好きだから傷つきたくないし、一層の事このまま振ってもらいたい。またこうやってすれ違っていたら、そのうち本当に蜂屋は俺を捨てるだろう。

そう思うと胸が痛くて死にそうだ。

その『いつか』にビクビクしていたら、不安で気持ちを伝えられなくなる。


「っ怖いんだ。蜂屋を好き過ぎて……このまま殺して」


「……飛躍し過ぎ。俺だって怖いよ、その上オーちゃんに死なれたら、俺生きていけないし」


「だったら何で……っ何で、一ヶ月も放置出来るんだよ!!蜂屋は何が怖いんだよ!!俺の怖さが……分かるのかよ」
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