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第1章 失恋

蜂屋の家はバイト先からバイクで30分ちょっとくらいの所らしい。大学から近いわけでもないのに、なぜこのバイトにこだわるかって言うと、好きな人がこの近くにいるから。

バイトを始めて1ヶ月くらいの時に、バイトに向かう俺の目に蜂屋の姿が映り、それを知った。



安藤美咲(アンドウミサキ)
二軒隣のコーヒーショップの店員さんで、蜂屋が一目惚れをした。1年以上もひたすら片思いをしていて、名前すら知らなかったらしいのだから、聞いた時は吹き出して笑ったものだ。


だから、このバイトの募集枠1名をどうしても譲りたくなかったらしい。結果、2人とも即採用って事で難を乗り切り、俺たちは仲良くなった。


そして、いつもとギャップがありすぎるくらい、余りにも奥手すぎる蜂屋を見兼ねて、俺が彼女に声を掛けたのだ。


それ以来、暇さえあれば美咲ちゃんに会いに、珈琲を飲みに行ったり、レポートを広げて長いしたりと付き合わされる。


俺自身、東京に来て学校以外のはじめての友達だし、気が合うし気を遣わないから、学校の友達よりも仲良くしている。