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昼想夜夢~君、想ふ~
第6章 指先
「随分と嫌われたものだな…」

このリビングに入ったときから彩花の顔色は優れない。
真っ青で、今にも泣き出しそうな表情。
それもそのはず。
このリビングもこのソファーも、俺が彩花をムリヤリ奪った場所。
こんな場所でコーヒーなんか飲んで寛いでられないか。

これ以上、このリビングで苛めるのも可哀想だな。

「俺のスマホならあっちだ」

俺はリビングに隣接している部屋を指差した。
そこには真っ白な襖がある。
彩花のお目当ての俺のスマホは隣の部屋にある。

「あっち…?」
「今、充電中なんだ。だから彩花が勝手に消せばいい」
「私が…?」
「あぁ、スマホにロックは掛けてねぇから。画像の消し方ぐらいわかるだろ?」

スマホの機種の違いはあれど、データ消却の仕方なんて大体同じだ。
その他に、見られちゃ不味い写メや画像があるわけじゃないし、大事なデータならもうバックアップも取ってるし。

「………っ」

勝手に消せばいい、そうは言ったが彩花はまだ何かを疑っている。
この俺がすんなり写メを消させるはずがないと疑っているのだろう。

「どうした?消していいって言ってるだろ?」

俺の睨むような視線に彩花の表情が固くなる。
ぐずぐずしているうちに俺の気が変わりやしないかと心配しているのだろう。

「け、消すわよ!」

俺の視線から逃げるように視線を反らした彩花は、俺が指差した扉に近づいた。
俺はソファーに座ってるし、今すぐここでどうこうなんて出来やしない。

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