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昼想夜夢~君、想ふ~
第6章 指先
振り下ろしたカッターナイフは彩花の頬の横を勢いよく通過して、俺の羽毛枕に刺さった。
カッターナイフが刺さった瞬間、その穴から一気に羽毛が舞い上がった。
軽い羽毛は、カッターが刺さった勢いで簡単に舞い上がってしまう。

刺されると思ったのに、カッターナイフが自分の顔の横に刺さった事に安堵した様子。
だが…




パサッ…





「あーぁ、切れちゃった…」
「……っ」

勢いよく刺したせいか、彩花の髪が少し切れてしまいベッドの下に落ちた。
皮膚を切られることはなかったが、自分の髪の毛を切られた事に対して彩花の表情はまたもや恐怖に染まっていく。
脅しじゃなく、本当に切ってしまったからだ。

「あー、そう言えば、北条は彩花の髪が好きだって言ってたのになぁ。残念だったな」



北条が嬉しそうに語ってたよ。
彩花の髪はサラサラで綺麗だと。
その髪が大好きだからヘアーアクセをプレゼントしようとしてた、と。
きっと北条の為に、毎日手入れもしてたんだろう。



だが、残念だったな。
北条が好きだと言った彩花の髪は、俺が切り落としてしまった。
まぁ、不揃いな切り方はしてないが、彩花は北条にどうごまかすかな?

「や、やめて…。お願…」

俺に殺されるとでも思ってるのか、彩花は涙目になりながら俺に命乞いをして来た。
心配しなくても、命を取ったりはしない。
いつも通り楽しませて貰うだけだ。

「殺すわけねぇじゃん…」
「え…」
「約束する。お前の肌には傷一つ付けない…」
「え…?な、何…?」





今更かも知れないが、彩花を傷つけるつもりはなかった。
ただ、北条が好きだと言った彩花の髪を見てると無性に腹が立った。
北条が彩花の髪に触れてると思っただけで、もう…、

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