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昼想夜夢~君、想ふ~
第8章 禁区
『小川さん、大丈夫なんですか?何か、息が荒いですけど?』

合間に小さな吐息が漏れてしまう。
勘のいい北条は俺の異変にすぐに気づいたようだ。
北条の言葉がスマホを通して彩花にも聞こえたのか、彩花はうっすらと瞳を開けた。

その目は、俺との関係が北条にバレやしないかと…
俺が口を滑らせて北条にバラしやしないかと心配してる目付きだった。

「ふ、うぅ――――っ、んっ…」

あーぁ、下の口は俺を締め付けて離さねぇし、おまけにいやらしい愛液までだらだらと垂れ流しやがって…。


「あー、実は今…」


俺がそう口を開いた瞬間、彩花はまた固く目を閉じた。
バラされる…、もう終わりだ、と覚悟を決めたかのように。






「今、ランニングをしてる最中なんだ」







「……っ!?――――んぅ…」

俺は咄嗟にランニングをしてるという嘘をついた。
俺の言葉に彩花もホッとしたのかまたしてもゆっくりと目を開き、涙を溜めた瞳で俺を見上げてる。

『ランニング?』
「あー、俺ももう年だし、健康の事を考えて、な…っ」

ランニングをしてるなら息が切れていても不思議ではない。
咄嗟に思い付いた嘘とは言えなかなか上手い言い訳だと思った。

『へぇ。健康的ッスね!』
「あぁ。…っ、ところで、残業はもう…っ、終わったのか?」
『はい。今から退社するところです』

こうしてる間にも彩花は俺のものを締め付けてくる。
口では嫌がっていたが、彩花のそこは正直だ。
まるで必死に俺を求めてくるようだった。

「お疲れ。気をつけて…っ、帰れよ…」
『あざーっす!小川さんも無理して怪我とかしないで下さいよ!』
「ばか。お前と違って運動神経はいい方なんだよ」
『いやいや、俺だっていい方ッスよ!前も言ったでしょ?学生時代はバスケ部だったって!』

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