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昼想夜夢~君、想ふ~
第8章 禁区
「………っ!」

脱衣所のドアのそば。
ここにいたら嫌でも聞こえてしまう。
ドアを一枚隔てた向こう側から彩花の泣き声が聞こえてしまう。

彩花の泣き声が聞こえたら、否が応にも思い知らされる。

自分がどれだけ酷いことをしたのか。
彩花がどれだけ北条を想っているのか。
俺との行為を苦痛に感じ、どれだけ俺が憎まれているのか。


それでも、俺は彩花を手放せない。
誰よりも幸せになって欲しいと願っていたはずなのに。



彩花の言う通り、俺は最低な男だ…。
どうしてこんなにも、彩花を手放せないのか…。











彩花が風呂に入ってから一時間が経とうとしていた。

リビングに戻りソファーに座りながら煙草を吸いながら彩花が戻って来るのを待っていた。
女の風呂にしては随分と長い。
まさか、風呂の中で俺の剃刀を使って…、と良からぬ事が頭を過っていたが





―――――カチャ…。





リビングのドアが開いた。
そこにいたのは俺のカッターシャツとスウェットのズボンを履き、髪を濡らした彩花が立っていた。
どうやら体の力は戻ったのかさっきよりも足取りはしっかりしている。

その姿を見た瞬間、俺は安堵した。
俺の嫌な予感が外れてくれてよかった、と。

「…あぁ、やっぱり俺のシャツはでかかったか?」

彩花の服も下着も俺が切り裂いてしまった。
あんな状態で外には出れないだろうし、適当に俺の服を準備しておいたのだが…。


「………っ」

俺の顔を見ても、彩花はすぐにそっぽを向いてしまった。
俺とは顔も合わせたくねぇんだろうな。

「ついでに髪も乾かしてくればよかったのに。脱衣所にドライヤーもあっただろ?」



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