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昼想夜夢~君、想ふ~
第9章 臨界点
彩花を祝ってやりたい気持ちはあるが、北条の気持ちもわかる。
これは、働く男なら一度は直面する問題だ。
彼女と仕事の板挟み。
「だったら、日曜にでも祝ってやれよ。さすがに日曜までは出勤しろなんて言われねぇだろ」
土曜は休日出勤を覚悟してるが、日曜までは言われはしないだろう。
「でもまぁ、誕生日当日の予定をドタキャンされたら怒るのも無理はないけどな」
俺もそんな経験がないとは言い切れない。
過去を掘り返せば、そんなカビの生えた思い出の一つぐらいは覚えがある。
一瞬、ドタキャンの話を聞いた瞬間、彩花の誕生日当日は俺が祝ってやれるかもと血迷ったが、俺の出る幕じゃないだろう。
「いや、彩花が怒ってるのはそこじゃないッスよ?」
「は?」
北条のその言葉…、俺が意味がわからなかった。
彩花は…、誕生日当日の予定をドタキャンされたから怒ってるんじゃないのか?
でもさっき、あんな大声で喧嘩してたじゃねぇか。
「じゃあ、何で喧嘩してたんだ?」
「平日は残業だから会えないのは仕方ないにしても、日曜まで縛られたくないじゃないッスかー?たまの休みなんだし、自分の時間が欲しいっていうか」
………っ?
まさか、こいつ…。
いや、いくら何でもそれはないだろう。
だって、彼女の誕生日だろ?
「本当は日曜に彩花の誕生日を祝うつもりだったんスけど、自分の時間が欲しいからってキャンセルしたら怒り出しちゃって」
――――――っ!?
まるで当たり前かのように笑う北条の姿を、俺は呆然と見つめていた。
北条の言い分はわかる。
この時期、残業も休日出勤も当たり前で、たまの日曜日ぐらいはゆっくり羽根を伸ばしたい気持ちはわかるが。
これは、働く男なら一度は直面する問題だ。
彼女と仕事の板挟み。
「だったら、日曜にでも祝ってやれよ。さすがに日曜までは出勤しろなんて言われねぇだろ」
土曜は休日出勤を覚悟してるが、日曜までは言われはしないだろう。
「でもまぁ、誕生日当日の予定をドタキャンされたら怒るのも無理はないけどな」
俺もそんな経験がないとは言い切れない。
過去を掘り返せば、そんなカビの生えた思い出の一つぐらいは覚えがある。
一瞬、ドタキャンの話を聞いた瞬間、彩花の誕生日当日は俺が祝ってやれるかもと血迷ったが、俺の出る幕じゃないだろう。
「いや、彩花が怒ってるのはそこじゃないッスよ?」
「は?」
北条のその言葉…、俺が意味がわからなかった。
彩花は…、誕生日当日の予定をドタキャンされたから怒ってるんじゃないのか?
でもさっき、あんな大声で喧嘩してたじゃねぇか。
「じゃあ、何で喧嘩してたんだ?」
「平日は残業だから会えないのは仕方ないにしても、日曜まで縛られたくないじゃないッスかー?たまの休みなんだし、自分の時間が欲しいっていうか」
………っ?
まさか、こいつ…。
いや、いくら何でもそれはないだろう。
だって、彼女の誕生日だろ?
「本当は日曜に彩花の誕生日を祝うつもりだったんスけど、自分の時間が欲しいからってキャンセルしたら怒り出しちゃって」
――――――っ!?
まるで当たり前かのように笑う北条の姿を、俺は呆然と見つめていた。
北条の言い分はわかる。
この時期、残業も休日出勤も当たり前で、たまの日曜日ぐらいはゆっくり羽根を伸ばしたい気持ちはわかるが。