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昼想夜夢~君、想ふ~
第9章 臨界点
「だったらお前、いつ彼女の誕生日を祝ってやるつもりなんだ…?」

この繁忙期は恐らく暫くは続く。
どんなに早くても年末までは続くはずだ。

繁忙期を理由にしていたら彩花の誕生日なんて祝えやしないだろう。

「あー、それさっき彩花にも言われたんスよ~」

いや、そりゃそうだろう。
全く関係ない俺が思ってるのだから、当事者の彩花はもっと強く思ってるだろうさ。




「別にいつでもいいッスよね?プレゼント渡すだけなんだから年明けでも」





目の前で、ハハッと笑う北条を本気でぶん殴りたくなった。





「つーか、女の誕生日なんて、女のワガママに振り回されるだけで、男からしたらたまったもんじゃないですよね~?」

こいつ、一体何を言ってるんだ?
彩花は誕生日当日は諦めて、週末まで待つつもりだったんだろ?
彼氏の北条に祝って欲しくて、待つつもりだったんだろ?

「ヘアーアクセにしようかと思ったけど、いきなり髪の毛をバッサリ切ったもんですから、こっちは誕プレの考え直しですよ」

それは…、俺が彩花の髪を切り落としてしまったからだ。
変にならないようにサロンで整えたのだろう。

その事については、俺にも責任があるわけだし、申し訳ないとは思っているが。

「つーか、女のヘアーアクセって意外と高いんスよね~」



彩花は誕生日プレゼントを期待していたんじゃない。
そんな女じゃない。
ただ、北条と過ごしたかっただけだろう。

なのに、こいつは…。

まるで面倒な仕事を終えたかのように眈々と話している。
俺のこの気持ちも知らないで。
封印しようとしたこの気持ちも知らねぇで…っ。


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