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昼想夜夢~君、想ふ~
第2章 記憶
アパートから学校へ向かう途中に、小さな公園があった。
滑り台やブランコがあって、たまに子供を連れた母親達が遊びに来ているのを見かけた。
そんなありふれた光景の中で、その子は…、サヤカはそこにいた。


「……?」

サヤカは、いつも公園の砂場で一人で遊んでいた。
誰かと遊ぶわけでもなく、砂場で一人で砂の城を作って遊んでいた。
最初は何とも思わなかったが、俺が大学へ行くときも、大学から帰ってくるときも、バイトに行くときも、サヤカは公園で一人で遊んでいた。

それがサヤカとの出会いだった。

あの子、いつも一人だな。
親はどこにいるんだ?何してるんだ?

しかし、サヤカはいつも一人で、サヤカの周りには両親の陰は見当たらなかった。


ある日、大学へ向かう為に玄関のドアを開けると。


ザァーッ…。


その日は朝から激しい雨が降り続いていた。
雨の日は登下校だけでびしょ濡れになってしまう。
雨の日は憂鬱な気分になってしまう。

が、天気なんて自然のものなのだし文句を言っても始まらないと思い傘を差して大学へ向かった。
ザァザァとよく降る雨で、空には鉛色の分厚い雲。
これはしばらく晴れ間は見れそうにないな。

そう思い公園の前を通りかかると

「あ…」

俺は我が目を疑った。
こんな大雨の日だというのに、サヤカは公園にいた。
滑り台の陰で雨を避けるように身を小さく丸めていた。

あの子って、いつもこの公園で一人で遊んでる子だよな?
いや…、こんな雨の日に何やってるんだよ…っ!
つーか、親は?親はいねぇの?

辺りをキョロキョロと見渡すが、両親らしき大人の陰はない。
ってことは、あの子マジで一人なのかよっ!

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