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昼想夜夢~君、想ふ~
第11章 透明な悲鳴
「彩花ちゃん、喜んでたか?」

何も知らないふりをしながら北条に尋ねた。
昨夜の出来事を北条はどう捉えているのか。
俺がいたせいでドア越しにしか会話出来なかったが。

「あー、何か風邪がぶり返したとかでドア越しでしか会話出来ませんでしたよ…」
「そうか…」
「すっげぇ苦しそうな声でしたもん。俺も無理せず早めに帰りましたけどね」

苦しそうな声…。
それは体調不良による声じゃない。
俺の愛撫に感じてヨガっていた声だ。

そんな事、北条は夢にも思ってないだろうな。

「結局会いに行くなら、昨日あんな口を叩かなきゃ良かっただろうに…」

昨日、会社の階段の踊り場で言ってただろ。
女の誕生日は面倒だとか何とか。
結局会いに行ったなら…、昨日のあの喧嘩は何だったんだよ。

「あれは…、最近残業続きでついイライラしてて…。最近まともにデートとかもしてませんでしたし…」

昨日の喧嘩を思い出し、彩花に八つ当たりした自分が恥ずかしくなったのか
バツの悪そうな顔で俺から顔を反らした。
まぁ、あんな喧嘩をしておいて結局は彩花に会いに行ったのだからバツが悪いだろうな。
しかも、彩花との会話を俺に聞かれてたんだから。

「でも…、彩花は許してくれたと思いますか?昨日あんな酷い事言っちゃいましたから」

あー、イライラし過ぎて八つ当たりしたあれか。

「さぁ。知らねぇよ」

恐らく彩花はもう怒ってないだろう。
ドア越しでしか話せなかったのは俺が彩花を抱いていたからだ。
あの状態で北条に会うわけにはいかなかったからだ。
北条の忙しさは彩花も理解しているのだから。

「ったく。そんな子供染みた八つ当たりをするぐらいなら今度はちゃんしたデートにでも連れて行ってやれよ」


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