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昼想夜夢~君、想ふ~
第11章 透明な悲鳴
「――――…っ」
プロポーズ…。
同じ男として北条の決断を応援してやるべきなんだろうが、応援出来そうにない。
一番聞きたくない台詞を聞いてしまった。
「は…っ、なるほどな…」
プロポーズ…、きっと彩花はオッケーするだろう。
ずっと一人だった彩花は、誰よりも家庭というものに憧れを持っている。
北条となら暖かい家庭を築けるだろう。
それはわかってたはずなのに…。
「きゅ、急に思ったんですよ…。彩花とはずっと一緒にいたいし、こんな俺の事を一番に理解してくれてるのは彩花だけだって…」
あ…、そう言えば…、昨夜ドア越しでプロポーズみたいなことを言ってたが、あれはプロポーズの為の前フリだったのか。
「だから、慌ててムードのあるレストラン探してネット予約して…、今日の寝不足はそのせいでもあるんですけどね」
あぁ、最近は24時間ネット予約が出来る店もあるからな。
そうか…、昨夜は家に帰った後にネットでプロポーズ用のレストランを探していたのか。
「まぁ、指輪も安もんだし、デザインも俺のセンスで選んだんで…、気に入らないかも知れませんけどね…」
何だ…?
さっきから北条の声が遠くに聞こえる。
まるで映画でも見てるような気分だ。
今、北条は俺に話しかけてるのか?
俺に彩花へのプロポーズの相談をしてるのか?
何で俺に?
もう、全てがどうでもいいと思えて来た。
北条の幸せそうな表情も
彩花への想いを語る口調も、全てが鬱陶しく思えて来た。
「俺みたいな薄給じゃ、彩花にも苦労させちゃいますけど」
「北条」
北条の口を防ごうと思わず声を荒げてしまった。
もうこれ以上、北条の話を聞きたくなかった。