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昼想夜夢~君、想ふ~
第11章 透明な悲鳴
早く…、早く出ろよ…。
奥歯を噛み締めながら彩花が電話に出るのを待った。
まさか、本当に俺を無視してるんじゃねぇだろうな…。

その疑問が大きくなり俺を不安にさせて行く。
しかし、諦めようかとしたその時






RRRRRR…、RRR―――――『…はい』

「……っ!」



スマホから聞こえてきた彩花の声。

『何…?』

気だるそうな声。
もしかして、寝ているところを起こしてしまったのか?

「さっさと出ろよ…」

俺は理不尽な怒りを彩花にぶつけてしまった。
これじゃ、残業続きでイライラし、彩花に八つ当たりをしてしまった北条と一緒だ。

本当はこんな風に彩花を攻めたい訳じゃないのに…っ。

『シャワー浴びてたの。何か用?こんな朝早くから…』

朝早く、仕事前に俺の声など聞きたくなかっただろうな。
いつもなら受け流す彩花の軽口も今日は何だか愛しく、切なく思えた。

「今夜、空いてるか?」
『は?今夜?』
「いや、予定を空けろ」
『はぁ?』

些か強引ではあるが、イライラが収まらない。
彩花の事情も、彩花のスケジュールも当たり前のように無視をした。
俺の為に予定を空けろと、無理難題を押し付けた。

『あ、空けろって…、そんな急に』
「空けれねぇなら、この間撮ったお前の動画を拡散させる」
『な…っ』

いつかの夜、俺が撮影した彩花の動画。
彩花は忘れてるかも知れないが俺のスマホには彩花のあられもない姿を納めた動画がしっかり残っている。
それをネタに彩花を脅迫してるのだ。

自分でもわかってる。
自分勝手で身勝手な事を言ってるとわかってる。

『ふ、ふざけないで!』

彩花が怒るのも無理はない。
こんなものは横暴だ。
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