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昼想夜夢~君、想ふ~
第12章 雷鳴
「さっさと言いなさいよ。わざわざこんな所に呼び出して、一体何の用なの?」


うんざりした表情。
カッとなった表情。
俺を蔑むかのような表情。

どの表情の彩花も可愛くて仕方ない。
俺の事を殺したいぐらいに憎んでいても、彩花の表情はどれも相変わらず美しい。

彩花の表情一つ一つを再確認するように見つめていた。
何故なら、もうすぐ彩花は北条のものになってしまうのだから。
そうなれば、今度こそ俺は本当にお役ごめんだ。
俺の出る幕はなくなる。

いや、元から…、俺の出る幕なんてなかったんだ。

「ちょっと…、私の話聞いてる…?」
「え?あぁ…」

ぼんやりと彩花の表情を見つめる俺に痺れを切らしたのか、彩花がもう一度俺の意図を尋ねて来た。

やべ…、一瞬ボーッとしてた。
どんな彩花の表情も…、忘れてなるものかと見つめ続けてしまっていた。

「あぁ、お前を呼び出した理由、だったな?」
「そうよ。さっきから聞いてる、で、しょ…」



彩花の瞼が、ゆっくりと閉じて行く。
呂律も回らなく、辿々しくなって行く。



「あれ?どうした、彩花…」
「ん、な、何でもな…、ただの寝不足…」

寝不足?
いや、襲い来る強烈な眠気に抗おうと必死に目を開けようとしている様子。
が、強烈な眠気には勝てないのか、次第に彩花の首が大きく揺れ動き出す。

「さ、さっさと、ん…、呼び出した、理由…を…」

力が抜けて首がガクンッと落ちる。
その振動で一瞬は覚醒するが、すぐにまた強烈な眠気が襲ってくる。

「ん、んぅ…」




くすくす…。
まさか、ここまで効いてくれるとは思っていなかった。






―――――ガクッ。









彩花の体が大きく揺れたかと思うと、そのまま背もたれに体を預け彩花の体から一気に力が抜けて落ちてしまった。


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