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昼想夜夢~君、想ふ~
第2章 記憶
その後、俺は大学を卒業して今の会社に就職。
忙しい日々に流されてるうちに、サヤカの事など当に忘れていた。

それが、今、目の前に――――。


「でもびっくりしたよー。いつもまー君から聞かされていた小川さんが、まさか純お兄ちゃんだったなんて」
「俺もびっくりしたよ。世間は狭いんだな」

北条の隣に座り一緒に酒を飲む彩花は、もう俺の知ってるサヤカではなかった。
昔の面影が残る笑顔、真っ黒な髪。
あの頃のサヤカと重なる部分はあるが、今俺の目の前にいるサヤカはすっかり大人になっていた。

あの時の少女は、美しく成長した女の姿で再び俺の前に現れたのだ。



まさか、北条の彼女が彩花だったとはな。
北条の言う通り世間は狭い。
だが、彩花の元気そうな姿を見て俺は安心した。
さっきまで、彩花に名前を呼ばれるまで忘れていたはずなのに
俺の脳裏に甦った思い出は早々簡単に消えてくれそうにない。

雨の日に、今にも泣きそうな顔で怯えていた頃に比べれば今の笑顔はとても幸せそうだ。
俺が知らない時間はあっただろうが、彩花が幸せそうでよかった。

「こんなまー君だけど、これからもよろしくね。純お兄ちゃん」
「あ、あぁ…」

約18年ぶりに再会した彩花は、本当に美しく成長していた。
それは、仲良くしていたはずの俺が戸惑うほどに。
北条が惚れるのも無理はないな。

「あー、つーかもうこんな時間じゃん!」
「あぁ、本当だ」

二人の表情を見て俺も腕時計を見ると、時刻は既に11時を回っていた。
彩花の昔話に花が咲いて気づかなかったが、もうこんな時間なのか。

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