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昼想夜夢~君、想ふ~
第13章 再来

――――プルルルルル、プルルルルル、プルルルルル。




頭の中がむず痒い。
胸もざわざわして不快だ。
こんな気持ちで仕事に集中出来るはずがない。

俺はスマホを睨みながら、イライラしていた。
今電話をかけている相手にこの上ない不信感を抱いていたのだ。



――――プルルルルル、プルルルルル、プルル…






『もしもし』
「彩花、お前…っ!」









俺がしつこく電話を鳴らしていた相手は彩花だ。
もう二度と連絡を取ることもないと思っていた彩花。

受話口から聞こえてくる彩花の声。
いつもならドキドキしながら聞いていた彩花の声なのに、今はドキドキを通り越して胸も体も、脳までもが熱い。

『な、何か用…?私、今から仕事なんだけど…』
「何か用じゃねぇよ…っ。お前…っ」

頭が痛い…。
いや、痛いなんてもんじゃない。
頭も胸も、激痛のあまりどうにかなってしまいそうだ。








「北条からのプロポーズを断ったって…、どういう事だよっ!!」














さっき屋上で北条に聞かされた。
彩花が、北条のプロポーズを断った、と。



"彩花は、俺のプロポーズを受けてくれませんでした"
"理由はわかりませんけど、ただずっと、ごめんなさいって謝ってました"


遠くを見つめながら、今にも泣き出してしまいそうな顔をした北条が俺に言った。

「何で断ったんだっ!?あんなに北条の事好きだったんじゃねぇのかよっ!?」

熱くなりながらも、妙に冷静な自分が嘲笑っている。


俺は彩花をどうしたいんだ、と。
北条と結婚するかもと思ったとき、辛くて悔しくて、彩花を奪ってしまいたかったんじゃないのか?
彩花がプロポーズを断ってホッとしてるんじゃないのか?

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