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昼想夜夢~君、想ふ~
第14章 昼想夜夢
あー、今から何をするんだっけ?
取引先に電話するんだったよな?
あと、業者に発注依頼をして、納品書を経理部に送って、それから…。

急がなきゃいけないのに、やらなくてはならないことは山積みなのに、頭が回らない。
デスクに付いたはいいが、何もやる気が起きない。
齷齪働く周りを見ながら、俺はどこか他人事のように思えていた。

タブレットを開いたが、そこから先に進まない。
思考が動かない。






……彩花。






俺は本当にバカだ。
仕事で手一杯だって言うのに、こんな時ですら彩花の事ばかり考えてる。
今はそれどころじゃないのに。






彩花はどうして北条からのプロポーズを断ったんだ?
やっと幸せになれるのに。
俺の手から離れられて、北条と幸せになれるって言うのに。

『プロポーズを断って、嬉しい…?』

さっきから、まるで取り憑かれたかのように、彩花の言葉が頭で繰り返し流れている。
あの時、俺はちゃんと答えられなかった。
俺の心を見透かされたみたいで、大人気なく意地を張ってしまった。
本当は嬉しかった。
死ぬほど嬉しかった。

なのに、俺は…。




俺は彩花に何も伝えてない。
彩花は北条のものだし、俺の事など兄としてしか見ていない。
だから俺は、自分の気持ちを隠して彩花に酷いことをして来た。

彩花は俺の気持ち等知らない…。

「――――っ」


今更、彩花に何を伝えると言うんだ?
伝えるにしても、もう何もかも遅すぎる。
俺に出来る事なんかもう何もない。
もう、何もしてはいけない。




でも――――――…っ!







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